スプリックス教育財団は、日本を含む10カ国の小中学生6,313人を対象とした「国際基礎学力調査2026」の速報を公表した。日本は計算テストで比較的高い水準を示し、簡単な計算の暗算方法にも他国との違いがみられた。また、保護者の学習支援やICT利用状況と、計算テストの成績との関連も明らかになった。
「8+5」の即答、日本68%と他9カ国40.3%
今回の調査は同年4〜8月、各国の有志の学校を通じて実施されたものだ。2026年10月14日に結果が公表された。
小学4・5年生と中学2・3年生相当を中心に、保護者3,163人、教員136人から回答を得ている。児童・生徒には「TOFAS」の計算テストと学習意識調査を行った。
計算テストの結果が集まったのは、日本、インドネシア、ベトナム、タイ、キルギス、ケニア、エジプト、ペルーの8カ国だった。フィリピンとモロッコは、集計時点で計算テストの結果が未回収だった。
調査の背景には、基礎学力への懸念があるという。日本の平均学力そのものは高く、PISA2025においてOECD加盟国のなかでもトップクラスのスコアを記録したものの、低得点層の割合が増えているとの指摘も同じ試験でなされた。
スプリックスは基礎学力のボトムアップに向けた示唆を得るために、発展著しいものの基礎学力に不安を抱えるグローバルサウス各国との比較を行う調査を行った。
日本は平均正答率が高く、白紙回答の割合も低いグループに入った。ベトナムとキルギスも比較的高い精度を示した一方、ケニアとペルーは正答率が低く、白紙回答も多かった。
「8 + 5」の計算方法について「頭の中で答えがすぐにわかる」と答えた割合は、日本が68.0%、他の9カ国の合計が40.3%だった。対して、紙に書く、指を使うなどと答えた割合は、日本13.4%、他9カ国37.0%に達した。これらは回答者の自己申告であり、暗算能力を直接測定した数値ではない。
ICT機器を使う算数・数学の授業が「全くない」と答えた割合は、合格者17.5%に対し、不合格者32.8%だった。
保護者への質問では、成績が振るわなかった際に「次のテストのために何に取り組むべきか子どもと話し合う」と答えた割合が、計算テスト合格者の保護者で約14ポイント高かった。
学校教員への調査では、日本以外の9カ国で「一人一台使える端末がある」との回答は14.6%、「端末が一切ない」は23.1%だった。ただし、回答した学校と教員には偏りがあり、国全体の整備状況は示さない。
家庭での対話と設備整備に示唆、因果関係は未確定
今回の結果は、基礎的な計算を素早く処理する力だけでなく、家庭での具体的な学習支援や学校の設備も検討対象にする重要性を示している。子どもの間違いを一緒に振り返り、次に何を学ぶかを話し合うことは、学校任せにしない学習支援の手がかりになるだろう。
ICT端末の整備が遅れる地域では、デジタル教材を使う機会そのものが限られる可能性がある。教材へのアクセスを改善すれば、個々の習熟度に応じた反復学習の選択肢も広がりうる。
ただし、今回示されたのは相関関係であり、保護者との対話やICT利用が計算力を直接高めたとは断定できない。回答者も無作為抽出ではなく、有志の学校から集められているため、各国の平均的な学力を比較した結果として扱うのは適切ではない。
日本でも一部の計算分野では正答率が8割を下回り、端末が整っていても授業ではほとんど使わない生徒が半数以上いたという。今後は財団が予定する国・学年・計算力別の詳細分析を通じ、設備の有無と実際の活用、家庭での支援方法を切り分けて検証することが求められる。
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