2026年10月7日、内閣府、デジタル庁、経済産業省などは、AIの社会実装を阻む規制や制度に関する情報募集を行うと発表した。令和8年7月に閣議決定された「人工知能基本計画」に基づく取り組みの一環である。
政府4府省庁が連携 AI活用を阻む既存制度の点検・見直しへ
内閣府、デジタル庁、経済産業省をはじめとする関係省庁は、人工知能を前提とした社会構造への転換を目指し、制度改革に向けた情報募集に乗り出す。この施策は「人工知能基本計画」に掲げられたAXの推進を具現化させるための重要な一歩となる。
募集対象となるのは、LLMやマルチモーダルAI、エージェントAIに加え、AIロボットや完全無人運転といったフィジカルAIの開発・提供・利用において障害となっている具体的な規制や制度である。法律や政令にとどまらず、省令、規則、告示、通知・通達レベルまで幅広く現場の課題を汲み取る方針だ。
寄せられた具体的な困りごとや意見は、今後の規制改革推進会議における審議や、同基本計画の改定、さらには府省庁横断的なルール整備の検討材料として活用される。また、該当する制度を所管する各省庁とも共有され、実質的な見直しへ繋げられる見込みである。
募集期間は令和8年10月19日から10月30日17時までと設定されている。専用の情報提供フォームは募集開始日より利用可能となる予定であり、現場でAI活用に取り組む事業者からの直接的な声が集まることが期待される。
制度刷新による産業活性化への期待と現場の声反映における懸念
政府による今回の主導的なアプローチは、AI技術の利活用を目指す企業にとって、長年の課題であった規制の壁を打破する大きな足がかりになると評価できる。旧来の法制度がAIの進化スピードに追いついていない現状を鑑みれば、タイムリーな施策と言えよう。
とりわけフィジカルAIやエージェントAIの領域では、安全性の基準や既存の手続きが参入障壁となっているケースが多い。官民が一体となって障害要因を洗い出すことで、新たなビジネスモデルの創出や国際競争力の強化につながる可能性がある。
一方で、募集期間が約2週間と短期間に設定されている点には注意が必要だ。現場で生じている複雑な課題を企業側がどこまで具体的に言語化し、実効性のある提案として提出できるかが制度改正の成否を分けると推測される。
単なる意見収集で終わらせず、集まった声をいかに迅速な法改正や行政指導の柔軟化に結び付けられるかが今後の焦点となる。行政側のスピーディーな判断と実行力が試されている。