2026年9月14日、株式会社ベーシックがAIチャットボット「askrun」に新エンジン「Agentic RAG」の提供を2026年9月1日から開始したと発表した。AIが自律的に再検索を行う仕組みにより、回答成功率が従来の80%から90%へ向上した。
AIが自ら調べ直す「Agentic RAG」 回答不能率を半減へ
株式会社ベーシックは、問い合わせ自動化ツール「askrun」の回答生成エンジンを刷新し、自律型検索機能「Agentic RAG(※)」の提供を開始した。従来のRAGは、ユーザーの質問文から1度だけ検索を行い、取得した断片データをもとに回答を作成する仕様であった。そのため、ユーザーの表現と登録資料の語彙が合致しない場合、正解が資料内に存在しても回答に失敗する課題を抱えていた。
今回導入されたAgentic RAGは、生成された回答の妥当性をAI自身が判断し、情報不足と見なせば検索語を言い換えつつ最大3回まで調べ直す。同社が「formrun」の問い合わせデータ100件を用いて行った検証では、回答成功率が80%から90%へ向上し、回答不能率は20%から10%へと半減する成果が確認されている。さらに、テキスト形式のマニュアルを登録するだけで現場の対応ルールを厳密に再現できるほか、ファイル指定による顧客固有データの参照にも対応する。
※Agentic RAG:ユーザーの質問に対してAIが自律的に検索の工夫や再検証を行い、必要な情報を取り直しながら回答を組み立てる技術概念。
自律型の導入で問い合わせ対応を効率化 誤動作の防ぎ方が鍵
新機能の導入により、企業のカスタマーサポート現場における業務負担は劇的に軽減されると予想される。特に「資料を整備したにもかかわらずAIが正答できない」という従来のボトルネックが解消される点は大きい。また、データベース連携の開発を行わずに顧客ごとの固有情報へアクセス可能となったことで、有人対応への引き継ぎ件数そのものが抑えられる見込みである。システムへの指示文(プロンプト)を複雑化させずに運用できる点も、管理コストの削減に直結すると言えよう。
一方で、AIに高度な判断を委ねる運用には一定のリスクも存在する。意図しない挙動を防ぐため、今回のシステムでは検索回数の制限や手続きの自動実行を行わない制限が設けられた。管理者側が回答プロセスを常時確認できる透明性の確保が、運用の安定性を左右する鍵となる。自律型AIの普及はカスタマーサポートのあり方を根底から変える可能性を秘めている。