2026年9月10日、国内の株式会社モスフードサービスは、株式会社Hacobuが展開するAI発注・輸送最適化サービス「MOVO PSI(※)」の導入を発表した。長年運用してきたサプライチェーン基盤を刷新し、人とAIが協働する需給管理を通じてサプライヤーを含むシステム全体の改善を目指す試みである。
モスフードサービス、AI活用と計画共有でサプライチェーンを刷新
モスフードサービスがMOVO PSIを採用した背景には、長年利用してきたサプライチェーン基盤の老朽化、事業拡大に伴う需給管理の複雑化、そしてベテラン担当者の知見継承という3つの深刻な課題が存在していた。 従来のシステムはインターネット普及期に構築されて独自機能の追加を重ねてきたため、保守や開発の負担が増大していた。 また、EC事業の推進などにより商品数や考慮すべき条件が増加し、発注判断の多くを経験豊富な担当者に頼らざるを得ない状況が続いていた。
新システムとして導入されたMOVO PSIは、比較的安定した定番品の需要予測や発注量算出を自動で行う仕組みとなっている。 繰り返し発生する計算業務をAIが引き受けることで、担当者は需要変動の激しい商品やキャンペーンなど、人間が判断すべき重要な局面へ集中できるようになる。 さらに、人間がAIの提案を修正した履歴やその理由をデータとして蓄積できるため、これまで個人の経験の中に埋もれていた判断基準の可視化にもつながるとみられている。
加えて、本サービスには確定発注前の計画段階から今後の需要見込みをサプライヤーへ共有する機能が備わっている。 これにより、サプライヤー側は原材料の調達や生産ライン、在庫および輸送車両の手配をより早い段階から計画することが可能になる。 結果として、モスフードサービスにおける欠品リスクが抑制され、全国の加盟店への安定した供給を長期的に維持できるようになると考えられる。
※MOVO PSI:需要予測に基づく発注量の算出やサプライヤーとの計画情報共有を支援し、在庫適正化や輸送効率の改善を担うクラウド型サービス。
サプライチェーン全体の最適化がもたらすメリットと今後の展望
今回のシステム導入は、物流を単なる「コスト」ではなく事業を支える「戦略」と位置づける同社の強い意志を反映したものであると考えられる。
最大のメリットは、AIによる定型業務の効率化とサプライヤー間での情報共有の早期化が同時に実現される点にあり、これにより積載効率の向上や車両不足といった業界課題への対策が強化されることが期待される。
今後は社内にとどまっていた在庫・物流情報をサプライヤーとの共通言語へと発展させ、無理のない生産および輸送計画の策定へとつなげていく方針とみられている。
一方で、新たなシステムの定着やサプライヤーとのデータ連携が円滑に進むかどうかについては、継続的な運用管理が不可欠となると指摘されている。 SaaSの標準機能を活用しながら基幹システムとの連携部分には個別開発を行う体制が整えられているものの、多様な関係者を巻き込んだ協働体制の構築には一定のハードルが存在する可能性がある。 それでも、労働人口の減少と事業拡大が同時進行する外食業界において、本取り組みは持続可能なサプライチェーン構築の先進的なモデルケースとなる可能性があると言える。
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