Power Diamond Systems(PDS)と東レリサーチセンター(TRC)は、次世代ダイヤモンド半導体デバイスの実用化加速に向けた共同研究を開始した。材料分析とデバイス開発を融合し、性能・信頼性を支える評価基盤の構築を目指す。
PDSとTRC、材料分析とデバイス開発を融合
PDSとTRCは、共同研究に関する基本合意書に基づき、次世代ダイヤモンド半導体デバイスの実用化に向けた共同研究を開始したと2026年8月20日に発表した。
TRCが持つ材料分析・界面解析技術と、PDSが有するダイヤモンドパワー半導体のデバイス設計・プロセス技術を組み合わせる。
研究では、ダイヤモンド半導体の微細構造、不純物分布、界面特性などを高精度に可視化する。TRCがナノスケールで構造・界面・不純物・結晶欠陥を解析し、その知見をPDSの材料・プロセス開発へ迅速にフィードバックすることで、材料特性や微細構造、界面状態とデバイス性能・信頼性との相関を体系的に明らかにする方針だ。
本件の背景には、電気自動車や再生可能エネルギー、産業用電力制御機器における高効率化・小型化の需要がある。
ダイヤモンドは極めて高い熱伝導率と広いバンドギャップ(※)を持ち、従来のパワー半導体材料を大きく上回る性能ポテンシャルが期待されている。一方で、実用化に向けては、材料中の微細構造や界面状態、不純物、結晶欠陥などがデバイス性能や信頼性に与える影響を十分に解明する必要がある。
そこで今回の研究では、分析と開発を連携させた高度な材料開発サイクルを構築し、ダイヤモンドパワー半導体の性能・信頼性向上と実用化・量産化に向けた技術基盤の確立を目指す。
※バンドギャップ:半導体内で電子が存在できるエネルギー帯の間にある領域。広いバンドギャップを持つ材料は、高温・高電圧環境での動作に適した特性を持つ。
ダイヤモンド半導体の実用化を左右する評価基盤
今回の共同研究の意義は、材料とデバイスを別々に評価するのではなく、両者の関係を一体的に捉えられる点だろう。微細構造や界面、不純物、結晶欠陥とデバイス性能の相関が明確になれば、性能低下の要因を特定しやすくなり、材料やプロセスを効率よく改善できそうだ。
開発と分析の往復を高速化できれば、次世代パワー半導体の研究開発効率を高める効果も期待できる。
また、ダイヤモンドの高い性能ポテンシャルを実際のデバイスとして引き出すには、性能だけでなく信頼性の確保も重要になるはずだ。その点で、評価技術を高度化することは、将来的な実用化や量産化を支える基盤として意味を持つと考えられる。
一方、共同研究の開始だけで製品化や量産化が実現するわけではないだろう。
分析によって得られた知見を材料・プロセス開発へ継続的に反映し、性能と信頼性を両立させることが課題になると思われる。
ダイヤモンド半導体の社会実装には、評価技術の確立に加えて、開発成果を量産工程へつなげる取り組みも必要になるだろう。
とはいえ今後、両社の連携によって材料理解と開発サイクルが高度化すれば、ダイヤモンドパワー半導体の実用化は加速する可能性がある。
将来的に電気自動車や再生可能エネルギーなどの電力変換分野への応用につながるか、引き続き注目したい。
株式会社Power Diamond Systems プレスリリース
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