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Cloudflare OSで何が変わる?資料作成から業務アプリまで広がるAI活用

PlusWeb3 編集部
PlusWeb3 編集部 Web3・AI専門メディア

2026年8月、Cloudflareは、社内の知識や仕事の進め方、日々使うシステムをAIにつなぐ「Cloudflare OS」をオープンソースとして公開しました。ブラウザ上でAIに相談するだけでなく、情報を調べ、文書や資料を作り、繰り返し作業を自動化し、必要に応じて小さな業務アプリまで作れる仕組みです。

さらに、AIが見てよい情報を細かく管理し、利用するAIモデルや費用も会社側で調整できるように設計されています。2026年8月時点ではEarly access(開発途中の先行公開)とされ、今後も改善が続く段階です。AIを一部の専門家だけでなく、幅広い社員の仕事につなげようとする取り組みのため、本プロジェクトの詳細を考察します。

社内での実践から生まれたCloudflare OS

Cloudflare OSが生まれた背景には、AIを一部の技術者だけが使う道具ではなく、会社で働く多くの人が日々の仕事に使える仕組みにしたいという考えがあります。企業の仕事では、一般的な知識だけでなく、社内独自の言葉や手順、ルール、過去の経験を理解したうえで作業を進める必要があります。そのため、AIに毎回一から説明するだけでは、継続的な業務支援には限界がありました。

Cloudflareは2026年5月に、最初のCloudflare OSを社内の全従業員が利用できるようにしました。実際に数千人が、文書やスライドの作成、繰り返し作業の自動化、小さなアプリ作りなどに利用する中で、個人利用からチーム利用へ広げるための課題も見えてきました。初期版では、作ったアプリが社内システムと常につながる形ではなく、決まった作業でもAIをその都度動かす必要がありました。また、成果物を共有するときには、AIが元の情報をどこまで見たのかも考える必要がありました。

そこでCloudflareは、安全性を利用者一人ひとりに任せるのではなく、会社全体で管理できる形へ設計を見直しました。なお、Cloudflare OSはWindowsやmacOSのような一般的なパソコン用OSではありません。会社がAIを安全に仕事へ取り入れるための土台という意味で「OS」という名前が使われています。2026年8月時点ではEarly accessであり、完成した製品というより、今後も改善が続く新しい業務基盤として公開されています。

参照: Cloudflare「Cloudflare OS: an open platform for agents, apps, and work」

会話だけで終わらず、実際の仕事まで進められる

Cloudflare OSの特徴は、AIとの会話だけで終わらず、その結果を実際の仕事につなげられることです。調べた情報を資料にまとめたり、決まった作業を自動で進めたりできるため、AIを単発の質問相手ではなく、仕事の流れを支える道具として使えるように設計されています。ここでは、日常業務で使いやすい3つの機能を紹介します。

会社の知識を踏まえて情報を調べられる

Cloudflare OSの作業画面では、一般的な情報だけでなく、会社やチームが用意した知識、言葉の意味、仕事の進め方を踏まえてAIに調査を任せられます。例えば、社内で使われている用語を確認しながら過去の情報を整理したり、複数の情報を比べて必要な部分だけを抜き出したりできます。

大量のデータをそのままAIへ渡すだけではなく、必要に応じてAIがプログラムを書き、情報の検索や絞り込み、組み合わせ、分析を行える点も特徴です。これにより、利用者が毎回細かな前提を説明する負担を減らしながら、会社の状況に合った形で情報を整理しやすくなります。

Cloudflare OSはブラウザから利用でき、専門的な開発知識がない人も使うことを前提に設計されています。そのため、エンジニアだけではなく、さまざまな仕事を担当する社員が社内情報を活用する入口になり得ます。

調査した内容をそのまま文書や資料にできる

調査した内容を、そのまま文書、プレゼン資料、表計算などの成果物へつなげられることもCloudflare OSの特徴です。例えば、複数の情報を調べたあと、その結果を報告書にまとめたり、会議用のスライドに整理したりできます。

作った成果物は、一度作って終わるファイルだけを想定しているわけではありません。元となるデータとのつながりを保ち、情報が変わったときに更新できる形にもできます。一方で、必要になれば一般的なファイル形式やGoogle Driveなどへ出すこともできます。

一般的なAIでは、文章を作ったあとに別のツールへ移し、改めて資料を整える作業が発生することがあります。Cloudflare OSでは、調査から成果物の作成までを同じ作業の流れで進められるため、ツールを何度も切り替える手間を減らせる可能性があります。

繰り返し発生する仕事を自動で進められる

会社の仕事には、毎回AIに自由に考えてもらう必要がない作業も多くあります。決まった情報を集め、一定の形に整理し、最後の一部だけ判断するといった業務です。

Cloudflare OSでは、このような仕事を一連の流れとして登録し、決まった部分はプログラムで処理し、判断が必要な場面だけAIを使う形にできます。すべての手順でAIを動かさないため、処理を安定させながら、必要なところだけAIの力を使える考え方です。

こうした処理は、利用者が必要なときに動かすだけではありません。決めた時間になったときや、つないだシステムで何かが起きたことをきっかけに、自動で始めることも想定されています。定期的な情報整理や報告内容の更新など、人が何度も繰り返している仕事を減らす使い方が期待できます。

AIに社内情報を任せるための安全の仕組み

引用: Cloudflare「Cloudflare OS: an open platform for agents, apps, and work」

AIを仕事で本格的に使うには、便利さだけでなく「どの情報まで見せるのか」「どの操作まで任せるのか」を会社側で管理する必要があります。Cloudflare OSでは、AIへ最初から広い権限を与えず、必要な情報や操作だけを許可する考え方を取り入れています。ここでは、安全に使うための3つの仕組みを見ていきます。

AIは最初から何でも見られるわけではない

Cloudflare OSでは、AIやアプリを使い始めた時点では、社内の情報や外部サービスへ自由にアクセスできない状態になっています。作業に必要な情報がある場合だけ、その情報へのアクセスを求め、利用者が許可する形です。

例えば、あるプロジェクトの情報を確認するために、関係のないデータまでまとめてAIへ見せる必要はありません。また、外部サービスへ接続するためのパスワードや接続用の秘密情報は、AIやAIが作ったプログラムから切り離して管理されます。裏側で動く処理についても、許可されていない外部のインターネットへ自由に接続できないように設計されています。

最初から大きな権限を与えるのではなく、仕事に必要な範囲だけを許可することで、AIが必要以上の情報へ触れる可能性を抑えます。AIを便利にするだけではなく、「見せなくてよい情報は最初から見せない」という考え方が土台になっています。

Gatekeeperが「どこまで使ってよいか」を管理する

社内システムとCloudflare OSの間では、「Gatekeeper」と呼ばれる仕組みが、情報や操作の範囲を管理します。難しく聞こえますが、「AIがどこまで見てよいか、何をしてよいかを確認する管理役」と考えるとわかりやすいでしょう。

例えば、プログラム開発などで使われるGitHubをAIから利用する場合でも、アカウント全体を自由に見せる必要はありません。特定の場所だけを対象にしたり、課題の内容は読めても、プログラムの中身までは読めないようにしたりできます。

さらに、一部の情報を見えないようにする、利用回数を制限する、外部へ影響する操作の前に人の確認を求めるといった管理もできます。AIを使う社員一人ひとりが複雑な安全対策を考えるのではなく、会社側があらかじめ共通のルールを用意しやすいことが特徴です。

AIが「何を見たか」まで記録して情報の広がりを管理する

Cloudflare OSでは、AIに与えた権限だけでなく、実際にAIがどの情報を見たかも記録します。これは、AIが作った成果物をほかの人へ共有するときに重要になります。

例えば、限られた人だけが見られるデータをAIが分析し、その結果から画面や資料を作った場合を考えます。その成果物だけを別の人へ自由に共有できると、元のデータを見る権限がない人にも、内容が間接的に伝わる可能性があります。

そこでCloudflare OSでは、AIが見た情報と作業内容を結び付けて記録し、別の人が成果物を開くときには、その人が元の情報を見る権限を持っているかを確認します。また、重要な情報を見たあとに、外部への送信や新しい人との共有などを制限する判断にも、この記録を使えます。AIが情報を見る瞬間だけではなく、その情報があとからどこへ広がるのかまで考え、意図しない情報共有を抑える仕組みです。

社員自身が必要なアプリを作って変えられる仕組み

Cloudflare OSが従来の業務ツールと大きく異なる点は、会社から用意された決まったアプリを使うだけではなく、社員自身が必要なアプリをAIに作ってもらい、その後も変えられることです。作業画面で「この情報を見やすくまとめる画面がほしい」などと伝えると、AIが画面と処理の仕組みを作ります。完成したものは単なる見本ではなく、実際の仕事で使い続けられる小さなアプリとして動かせます。

こうしたアプリは、それぞれが分けられた環境で動き、独自にデータを持てるように設計されています。また、作ったアプリそのものをほかの人と共有するだけでなく、「Blueprint」と呼ばれるひな型として共有することもできます。ひな型から新しく作ったアプリには、元のデータや会話履歴、接続に使う秘密情報などは引き継がれません。それぞれが独立した状態から使い始められます。

この仕組みが広がれば、現場で「少し不便だ」と感じたときに、専門部署へ改修を依頼して待つだけではなく、自分たちの仕事に合わせた小さな道具をその場で作る選択肢が増えます。誰かが作った便利な仕組みを、ほかの社員が自分向けに変えながら使える点に、Cloudflare OSが目指す新しい業務アプリの形が表れています。

今後の展望

Cloudflare OSは、AIを便利な質問ツールとして使うだけでなく、会社の知識や仕事の進め方を支える共通の土台へ広げようとする取り組みです。今後は、個人の経験を会社全体で生かす方法、AIにかかる費用の考え方、普段使う仕事の場とのつながり方が重要になっていくと考えられます。

個人が持つ仕事のコツを、会社全体の知識として生かせる可能性

Cloudflare OSでは、会社が用意した知識や仕事の進め方を、AIが使える形で共有できます。この考え方が広がれば、社内マニュアルを保管するだけではなく、「この仕事はどの順番で進めるのか」「どこを確認してから判断するのか」といった、担当者が経験の中で身につけてきたコツまで残しやすくなると考えられます。Cloudflareも、誰かがより良い仕事の進め方を見つけたとき、その方法をほかの社員も使えるようにする考え方を示しています。

これが実際の会社運営に定着すれば、人事異動や退職があったときにも、特定の人だけが知っていた手順を引き継ぎやすくなる可能性があります。例えば、営業活動の中で成果につながった情報整理の方法を別のチームでも使ったり、管理部門で改善した確認手順をほかの部署へ広げたりする使い方です。AIを使うことで、一人の工夫をその人だけのものにせず、組織の知識として再利用しやすくなる点は大きな変化です。

一方で、共有する内容が古くなったり、間違った手順が残ったりすれば、AIもその情報をもとに仕事を進めてしまうおそれがあります。そのため今後は、知識を増やすことだけでなく、「誰が更新するのか」「いつ見直すのか」「どの内容を正式な手順とするのか」を決める運用も重要になります。

Cloudflare OSのような仕組みが広がれば、AIを導入すること自体よりも、会社の知識を整理し、正しい状態へ更新し続ける力が成果を左右するようになるでしょう。AIを入口として、これまで人の頭の中に残りやすかった仕事の知恵を、会社全体で育てていく動きが進むと考えられます。

高性能なAIを使い続けるのではなく、仕事に合わせた費用管理へ

Cloudflare OSでは、AIの利用を「Cloudflare AI Gateway」という仕組みを通して管理できます。簡単にいえば、複数のAIモデルの利用状況や費用をまとめて管理するための仕組みです。会社は利用できるAIモデルを決めたり、仕事に応じて使うモデルを調整したりできます。

AI Gatewayには、使った金額をもとに上限を設定する機能もあります。モデルの種類やAIの提供会社だけではなく、利用者やチームなどに応じて予算を分けることもできます。高性能なAIほど、すべての仕事で使う必要があるとは限りません。そのため、仕事の難しさに合わせてAIを使い分ける考え方が重要になります。

例えば、毎日の簡単な要約や情報整理には費用を抑えたモデルを使い、重要な分析や複雑な判断を助ける場面では、より高性能なモデルを使うといった運用が考えられます。会社全体で一つのAIだけを使うのではなく、「この仕事にはこのモデル」という形で分けられれば、必要以上に費用が膨らむことを抑えやすくなります。

さらに今後、AIの利用量や費用に、会社が別に管理している売上、作業時間、処理件数などの数字を組み合わせれば、どのAI活用が本当に役立っているのかを判断しやすくなる可能性があります。これは、現在のCloudflare OSが業務成果まで自動的に測るという意味ではありません。AIにかかった費用を土台に、企業側が自社の成果と合わせて評価する使い方です。

AIを使った人数や質問回数だけを見るのではなく、「どの仕事に、いくら使い、どのような変化があったのか」を見ることが、今後のAI投資ではより重要になっていくと考えられます。

AI専用の画面を開かず、普段の仕事の中で使う形へ

Cloudflareは、今後Cloudflare OSをCloudflareの管理画面から使える、より管理しやすい製品へ広げることに加え、開発作業向けのContainersや、SlackなどのチャットツールへCloudflare OSの作業環境を広げる計画を示しています。

これらが進めば、利用者が毎回Cloudflare OS専用の画面を開くのではなく、普段使っている仕事の場所からAIを使える場面が増えていくと考えられます。例えば、日常のやり取りをしているチャットから必要な情報を確認し、そのまま次の作業へつなげられれば、「AIを使うために別のサービスを開く」という手間が減ります。

開発の現場でも、普段の作業環境とCloudflare OSの距離が近くなれば、AIが特別な道具ではなく、仕事の流れの中へ自然に入る形へ変わっていく可能性があります。また、Cloudflare OSはオープンソースとして公開されているため、企業が自社の画面や社内サービス、運用ルールに合わせて作り変えられる点も、この流れを後押しすると考えられます。

将来的には、すべての会社が同じAIサービスを同じ形で使うのではなく、それぞれの会社が自社の言葉、手順、利用ルールを反映した「自社向けのAI環境」を持つ形も広がる可能性があります。そうなれば、AIは新しく導入した一つのツールではなく、チャット、管理画面、開発環境など、さまざまな仕事の場をつなぐ存在になります。

Cloudflare OSが示しているのは、AIの性能だけを高める方向ではなく、社員が普段の仕事を大きく変えなくてもAIを使える環境を整える方向です。AIを使うこと自体が目的ではなく、自然に仕事の中へ入り込み、会社ごとの働き方に合わせて使われる形へ発展していく可能性があります。

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