米量子コンピューティング企業PsiQuantumは、米国防高等研究計画局(DARPA)と総額1億2500万ドルの契約を締結した。実用化に向けた技術検証の範囲が拡大し、開発体制の強化が進められる。
PsiQuantum、DARPAと契約拡大
PsiQuantumは、DARPAが推進する「Quantum Benchmarking Initiative(QBI)」の一環として、新たに総額1億2500万ドルの契約を締結したことを2026年7月22日に発表した。
これは同社にとって過去最大の政府契約であり、実用規模量子コンピューター(※)の設計や主要部品、システム全体の性能評価、ソフトウェア開発などを支援する内容となる。
QBIは、実用規模の量子コンピューター実現に向けた技術を中立的かつ厳格に評価する米政府のプログラムである。PsiQuantumは現在、最終段階となる「Stage C」に進出している2社のうちの1社であり、設計や運用計画、性能などについて継続的な検証を受けているという。
DARPAはこれまで、同社の研究施設での現地調査や技術レビューに加え、設計資料や性能データへのアクセス、主要部品の実証試験、量子アルゴリズムの検証などを実施してきた。今回の契約により、ハードウェアやアーキテクチャ、ソフトウェア、関連インフラまで評価範囲を拡大し、検証作業をさらに加速させる。
なお、契約資金は、カリフォルニア州ミルピタスとイリノイ州シカゴの施設への設備投資にも充てられる予定である。
PsiQuantumは2026年5月にも、米商務省とCHIPS・科学法に基づく最大1億ドルの支援に向けた基本合意書を締結しており、米政府との連携を強化している。
DARPAは2023年からPsiQuantumを継続的に評価しており、2025年にはStage Cでの現地検証契約も締結していた。
※量子コンピューター:量子力学の性質を利用して計算を行う次世代コンピューター。従来のコンピューターでは膨大な時間を要する計算を高速に処理できる可能性があり、創薬や材料開発、金融、AIなど幅広い分野での活用が期待されている。
厳格な政府評価が商用化への追い風に
今回の契約は、PsiQuantumへの資金支援だけでなく、第三者による厳格な技術検証が継続される点にも意義がありそうだ。政府機関による客観的な評価を通過した技術は、投資家や企業、研究機関からの信頼を得やすくなり、量子コンピューティング市場全体の発展が後押しされる可能性がある。
一方で、実用規模の量子コンピューター実現には依然として多くの課題が残るだろう。
誤り訂正技術の確立や大規模製造、安定運用などを実証しなければならず、多額の投資が必ずしも短期間で成果につながるとは限らない。
また、有力企業間の開発競争が激化することで、技術や資金力の差が市場構造に影響を与える可能性も考えられる。
とはいえ今後、政府主導の検証プログラムを通じて有望技術の選別が進めば、量子コンピューティングが研究開発段階から産業実装へ移行する動きは加速するだろう。
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