2026年7月22日、学習教材開発を手掛ける株式会社COMPASSが、自社のAI型教材「キュビナ」を宮城県利府町の全町立小中学校9校へ導入したと発表した。2026年度より児童生徒約3,100人が利用を開始している。
町内全9校へ導入拡大、約3,100人が活用する公教育でのAI実践
宮城県利府町は、第2期教育振興基本計画に掲げる「基礎的な学力の定着と確かな学力の育成」を実現するため、AI型教材「キュビナ」の本格運用を決断した。
同町では過年度より一部の学校で試験的な活用を進めてきたが、今年度からは町立の全小中学校9校における共通のAIドリルとして採択するに至る。対象は小学1年生から中学3年生までにおよび、約3,100人の児童生徒が一斉にデジタル技術を活用した学習に取り組む環境が整った。
今回の導入において焦点となるのは、AIが持つ高度なアダプティブラーニング(※)機能の活用である。
利府町教育委員会の阿部昭博教育部長は「AIが児童生徒の習熟度や過去のつまつぎを瞬時に分析し、現在必要な問題をリアルタイムでナビゲートする高い個別最適化機能が決め手となった」とコメントを寄せている。生徒各自が自分のペースで主体的に学習を進めることで、基礎学力の確実な定着を促す狙いが伺える。
※アダプティブラーニング:学習者個人の理解度や学習履歴などのデータに基づき、最適化された学習内容や指導を提供する教育手法。
EdTechが描く教育の未来像、データ活用が生む課題と可能性
公教育におけるデジタル教材の全面導入は、子どもたちの個に応じた学習支援を可能にするだけでなく、教員の働き方改革という観点からも大きなメリットをもたらす。
学習データを活用した客観的な指導方針の策定が可能になるほか、従来の採点作業やプリント作成といった業務負担が軽減される見込みだ。これにより、教員が児童生徒と直接向き合う時間を創出し、きめ細かな精神的ケアや探究的な指導に注力できる環境が構築されると期待できる。
一方で、先進的な教育ICTの導入には特有の課題も付きまとう。
端末や通信環境のトラブルへの迅速な対応が求められるほか、蓄積された膨大な学習データのプライバシー保護と厳重な管理が欠かせない。また、教員間でのICT活用スキルに偏りが出ないよう、研修体制を整えることも運用上の重要な焦点となるだろう。
自治体全体でのAI教材導入という利府町の先進的な挑戦は、地方における教育DXのモデルケースとなる可能性を秘めている。利便性とデータセキュリティのバランスを図りつつ、どのような教育成果が生み出されるか注目が集まる。