小池都知事「AIゆりこ」再起動 選挙戦に生成AIが再び登場、Xでバージョン2.0公開

2025年5月28日、東京都の小池百合子知事が自身のX(旧ツイッター)を更新し、生成AIを活用した広報キャラクター「AIゆりこ」のバージョン2.0が完成したと報告した。昨年の都知事選で話題となったAI戦略の再起動に、SNS上でも注目が集まっている。
AIゆりこ2.0が公開 都政PRに再び生成AIを活用
東京都の小池百合子知事は5月28日夜、自身のXにて「AIゆりこ」の最新版となる「バージョン2.0」の始動を報告した。
投稿には進化したAIゆりこが都政の「今」と「これから」を紹介するショート動画も添えられ、「みなさま、ごぶさたしております。AIゆりこが帰ってまいりました」と語りかける演出が施されている。
AIゆりこは、2024年の都知事選で登場し話題を呼んだキャラクターである。生成AI技術を駆使し、小池氏のキャスター時代を想起させるビジュアルと語り口で、子育て政策などを紹介。公開直後には700万アクセスを記録し、小池氏自身が「大変関心が高い」と自賛していた。
今回のバージョン2.0では、より高度な生成AI技術を導入したとされ、「誰ひとり取り残さない東京」の実現に向けた情報発信を目指すという。
動画では政策内容に加え、都民に親しみやすい語り口や表現が意識されており、広報手法としてのAIの定着をうかがわせる内容となっている。
小池氏のXでの投稿は約半年ぶりであり、自身による直接の発信は昨年の都知事選以来、約10か月ぶりとなる。
都議選控え、AI活用が加速 情報戦の主戦場はSNSへ
6月13日に告示が迫る東京都議会議員選挙を前に、「AIゆりこ」再始動はデジタル戦略の一環と見られる。2024年の都知事選で見せた生成AIの活用は、選挙戦における情報拡散の有効手段として一定の成果を上げており、今回の動きもその延長線上にある。
SNSにおける短尺動画やAIキャラクターは、情報を手早く消費したい都市部の有権者と親和性が高い。特に、複雑化する政策を「わかりやすく、正確に、親しみやすく」伝えるAIの役割は今後さらに拡大する可能性がある。
加えて、生成AIによるメッセージ発信は、都民への直接的なリーチを高めるだけでなく、メディアを介さずに独自の語り口で印象づけられる点でも有効だ。
一方で、AIによる政治的メッセージ発信にはリスクも伴う。編集の透明性や発言の責任所在が不明瞭になる懸念があり、倫理的な課題も指摘されている。
また、AIによる情報が現実と混同されるリスクを防ぐためには、表示の明確化やガイドラインの整備が不可欠である。
AIが選挙戦の前線に立つ時代において、技術の進化は歓迎されるべきだが、それをどう運用し、どこまで透明性を担保できるかが、政治とAIの関係を左右する鍵となる。