角田市がAI教材「すららドリル」導入 1400人の小中学生が個別最適学習へ

2025年5月20日、株式会社すららネットは、同社が提供するAI型教材「すららドリル」を、宮城県角田市の教育委員会に導入したことを正式発表した。
市内7校・約1400人の児童生徒がすでに活用を開始している。
角田市の小中学校にAIドリル一斉導入
宮城県角田市教育委員会は、学力向上施策「角田市学力向上ゆめプラン」の一環として、アダプティブラーニング(※)教材「すららドリル」を市内全7校に導入した。対象は小中学生約1400人で、2025年5月から順次利用が始まっている。
この教材は、AIによる理解度分析や難易度調整機能を備えており、個別最適化された学習体験を実現する。演習・テスト・対話式レクチャーを通じて、「わかる→試す→復習する」というサイクルを自然に回す構造になっており、児童生徒が自ら学ぶ姿勢を育む仕組みが整っている。
角田市では、ICTを活用した教育環境の整備に以前から力を入れてきた。
すららドリルの導入により、理解度に応じた課題の自動配信や進ちょく管理、丸付けの自動化が可能になり、教員の業務負担軽減も期待される。
永井哲教育長は「不登校を含むすべての子供たちが、自分らしく学ぶ姿を支えたい」とコメントしている。
学習意欲と教育効率の両立なるか
AIを活用した学習支援は、全国的にも注目されているが、角田市の取り組みはその先進的なモデルとなる可能性がある。
すららドリルは児童生徒の学習ログを蓄積・分析し、それに基づく最適な復習提案や反復学習を自動で実行する点が特徴である。これは学習意欲の向上と、自律的な学びの促進につながると期待される。
一方で、デジタル教材に依存しすぎることへの懸念もある。
対面指導とのバランスや、ICTリテラシーの格差による学習効果の差異など、運用面での課題も想定される。
今後は、家庭学習とのシームレスな連携を図りつつ、教員・保護者の理解と協力を得ながら活用の幅を広げていくことが求められるだろう。
すららネットは、角田市との連携をさらに強化し、「一人ひとりに最適な学び」の提供を掲げている。同社の動向は、自治体によるAI教材導入の成否を占う一例として注視されるだろう。
※アダプティブラーニング:
学習者の理解度や進度に応じて教材や指導方法を自動調整する教育手法。AI技術と組み合わせることで個別最適化が可能となる。