Google、新AIツール「AI co-scientist」を公開　科学分野特化と推論能力が特徴

米国のGoogleは2025年2月19日、複数エージェントが連携するAI技術を用いた研究支援ツール「AI co-scientist」をアナウンスした。科学分野における発見速度を加速させる狙いがあるとされ、専門家の注目を集めている。

新たな研究アプローチをもたらすAIシステムの全貌 

Googleが披露したAI co-scientistは、Gemini 2.0（※1）を基盤とするマルチエージェントAIシステム（※2）を採用している。
複数のエージェントが生成、反映、評価といった異なる役割を担いながら相互に競い合い、科学的な推論を行える点が特徴だ。研究者は自然言語で研究目標を提示し、それに沿った文献整理や仮説の提示を受け取ることが可能になるといわれている。

これにより、従来は時間を要していた先行研究の収集や多角的な視点の導入をスピーディに進められるようになるはずだ。特にAI同士が切磋琢磨する自己改善ループは、提案の新規性と妥当性を高い精度で引き出す要因であるとされている。

すでに実施された初期テストでは、肝線維症の治療に関する新たな研究方針が提示され、その有用性が専門家から高い評価を受けたようだ。従来のAIモデルを超える新規性を備えているとみられている。
今後は生物医学の領域のみならず、幅広い学問分野での活用が期待される。研究現場での負担を軽減し、革新的なアイデアを迅速に検証する土台になりうるかもしれない。

今後の発展と倫理面へのまなざし

Googleは研究機関へのテストプログラム参加を呼びかけ、AI co-scientistの適用範囲を拡大する方針を示している。多様なデータを統合し、大規模な演算資源を活用できる点が優位であるため、将来的には新薬開発や気候研究など、専門性の高い領域にも影響を及ぼす可能性があると考えられる。

しかし、AIの予測や提案に全面的に依存することへの懸念も大きい。論文や研究データの信頼性をいかに確保するか、あるいは過度の自動化が科学者の判断力を損なわないかなど、慎重な検討が求められている。研究成果の透明性と再現性を担保するため、今後は第三者機関による評価や社会的合意が不可欠になるだろう。

一方で、AIの導入が研究スピードを飛躍的に加速し、未知の発見をもたらす契機になると期待する声もある。こうした議論を踏まえながら、Googleは倫理面への配慮と技術的進化を両立させる道を模索し続けるとみられる。
世界規模の共同研究が進むなかでは、AI co-scientistがデータ共有のハブとなる展望も浮上している。学際的な連携が進むことで、従来の枠組みでは到達し得なかった革新的な成果が生まれる可能性も捨てきれないだろう。

※1 Gemini 2.0：Googleが開発する次世代AIモデル。

※2 マルチエージェントAIシステム：複数のAIが相互に競合や協調を行いながら推論と学習を進める仕組み。

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