海外の暗号資産企業の日本進出が活発化 日本の規制は各国をリードできているのか
日本の暗号資産市場が、グローバル企業の注目を集めている。
2024年後半から2025年初頭にかけて、香港のOSL Group、米国のBlockstream、Gate.ioなど、複数の大手暗号資産企業が日本市場への参入を表明した。これらの企業が日本市場を選択した背景には、世界に先駆けて整備された規制環境がある。
本稿では、なぜ日本の暗号資産規制が海外企業を引き付けているのか、その実態と今後の展望について解説する。
世界をリードする日本の暗号資産規制フレームワーク
日本は2017年に世界に先駆けて暗号資産を法律で定義し、取引に関する規制フレームワークを確立した。
金融庁チーフフィンテックオフィサーの牛田遼介氏は、日本の包括的な暗号資産規制の体系は、グローバルでも先進的な取り組みとして評価されていると指摘している。特に高度なトラベルルール(送金時の通知義務)やステーブルコインの法制化など、日本の規制体系は他国と比較して非常に先進的な位置づけにあるという。
この規制環境の有効性は、2022年の暗号資産取引所FTXの経営破綻時に実証された。
世界各国の投資家が大きな損失を被る中、日本の投資家は法規制による保護を受け、その多くが資産を保全することができた。この事例は、日本の規制フレームワークの実効性を世界に示すこととなった。
参考 : レアゾン・ホールディングス 対談記事
海外企業の戦略的な日本市場参入
2025年2月、香港証券取引所上場企業のOSL Groupは、日本法人「OSL Japan」の設立を発表した。同社CEOのKevin Cui氏は、日本市場を選んだ理由として、確立された規制環境と成長可能性の高さを挙げている。
特に日本市場は「規制に則った事業運営を行っているOSL Groupにとって理想的」であり、現状でも口座数は香港を上回る規模に達していると説明している。同社は2011年の設立以来、香港市場で初めて証券先物委員会(SFC)の認可を取得するなど、規制遵守を重視した運営で実績を築いてきた。
OSL Japanは、2024年11月に株式の81.38%を取得して子会社化した国内暗号資産取引所CoinBestを基盤に、富裕層向けのOTC(相対)デスクによる大口取引サービスや、個人投資家向けに取引所サービスの提供を計画している。
同社は「外資企業として単に日本に進出するのではなく、香港での実績を活かしながら日本のチームと協働してサービスを展開していく」というアプローチを強調している。
さらに、BlockstreamやGate.ioなどの暗号資産関連企業も日本市場への参入を決定した。特に注目すべきは、これらの企業が単なる海外展開ではなく、日本の規制環境に適応した独自のビジネスモデルを構築しようとしている点である。
Blockstreamは、東京にオフィスを開設し技術開発の拠点として活用を目指し、Gate.ioは国内の暗号資産取引所c0banを運営するCoin Masterの全株式を取得して日本市場に参入するなど、各社が規制を制約としてではなく、ビジネスの信頼性を担保する基盤として捉える姿勢を示している。
まとめ
日本の暗号資産規制は、当初は厳格すぎるとの批判もあった。
しかし、投資家保護と市場の健全性確保という観点から、その有効性は世界的に認知されつつある。今後は、規制環境の整備を基盤としながら、イノベーションと投資家保護のバランスを取った市場発展が期待される。
海外企業の参入増加は、日本市場の成熟度と将来性を示す指標として捉えることができる。ただし、市場の更なる発展のためには、レバレッジ取引の規制緩和や大企業の参入障壁低下など、検討すべき課題も残されている。
グローバルな暗号資産取引のハブとして、日本市場の重要性は今後も高まっていくと予想される。
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