メッシュ、Apple Payと連携で「暗号資産で支払い可能」に 店舗側へステーブルコインを自動換算

暗号資産決済スタートアップのメッシュ(Mesh)は2025年5月1日、ドバイで開催されたイベント「Token2049」にて、暗号資産決済をApple Payに拡大する計画を発表した。これにより、ユーザーは暗号資産で支払いを行い、店舗側はステーブルコインで代金を受け取れるようになる。
暗号資産での支払いがApple Pay経由で実現
今回発表された新機能は、メッシュの独自技術である「SmartFunding」を基盤としており、ユーザーが保有する暗号資産を決済時に自動的にステーブルコイン(※1)へ換算する仕組みだ。
これにより、店舗側が暗号資産を直接的に取り扱いする手間を回避しつつ、デジタル資産による決済を受け入れることが可能となる。
Apple Payのインターフェースを活用することで、店舗側に新たなシステム構築を求めることなく、簡易に暗号資産決済へ対応できる点も特徴である。
この連携は、Web3(※2)時代における実店舗とオンライン決済の境界を曖昧にし、消費者の利便性を大きく高める可能性があるだろう。
すでに米決済大手ストライプやペイパルなどもステーブルコインを用いたサービスを開始しており、メッシュの動きはこうした潮流の中で一歩先を行くものと言える。
メッシュのCEO、バム・アジジ氏は「暗号資産決済が法定通貨決済と同じくらいシームレスになれば、グローバルな商取引がブロックチェーン(※3)基盤に移行するのを阻むものは何も残らないと信じている」と述べており、従来の通貨インフラに依存しない商取引の可能性を示唆している。
暗号資産決済の実装加速なるか 今後の展望と課題
新機能の正式リリースは2025年第2四半期後半とされており、ユーザー体験のシームレス化と事業者側の受け入れやすさが両立されている点が強みとなるだろう。
特に、メッシュのように法定通貨を介さずブロックチェーン上で価値を移転させるモデルは、国境を越えた商取引やデジタル市場の拡大と相性が良いと考えられる。
一方で、普及に向けた課題も残るとみられる。たとえば、各国の規制に対応するためのKYC(本人確認)やAML(マネーロンダリング対策)の整備、ユーザー側の操作性やリテラシーの向上も必要不可欠であると考えられる。
加えて、Apple Payとの連携によって一部のデバイス環境に限定される可能性もあり、広範な普及にはさらなるインフラ対応が求められるだろう。
とはいえ、Web3技術をベースとした決済が日常の購買行動に取り込まれる事例としては画期的であり、メッシュの取り組みは、今後の業界動向を左右する指標のひとつとなるだろう。
消費者と事業者、双方にとって合理的な選択肢を提示できるかどうかが、今後の鍵を握るとみられる。
※1 ステーブルコイン:米ドルやユーロなどの法定通貨の価値と連動するよう設計された暗号資産で、価格の安定性を特徴とする。決済や送金において法定通貨に代わる手段として注目されている。
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※2 Web3:ブロックチェーン技術を基盤とする新たなインターネットの形態。ユーザー自身がデータを管理し、取引や契約も中央の管理者を介さずに行える、分散型の仕組みが特徴。
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※3 ブロックチェーン:取引記録などのデータを分散型ネットワーク上で連続的に記録・管理する技術。改ざんが困難で透明性が高く、暗号資産の基盤技術としても利用されている。
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