KTとベトテル、AI転換で提携拡大 ベトナムを起点に東南アジア展開へ

2025年5月27日、韓国の通信大手KTは、ベトナム軍隊通信グループであるベトテルと戦略的パートナーシップを締結したと発表した。人工知能(AI)を軸とした事業転換(トランスフォーメーション)を目的に、両社は東南アジアを中心とした展開を本格化させるとみられる。
KTとベトテル、AI・クラウド事業など6分野で協力
KTとベトテルは、AI技術の実装を中心とした6つの協力分野を定め、戦略的な連携を進めると発表した。
協力対象は、AIトランスフォーメーションのコンサルティング、共同によるAI事業開発、個人および中小企業向けソリューションの発売、AIデータセンターおよびクラウド基盤の構築などが含まれるという。
今回の提携事業の総規模は1,300億ウォン(約136億円)であり、今後も共同出資により東南アジア地域の展開を本格化させる見込みだ。
ベトテルは現在、東南アジアやアフリカ、中南米の11カ国で1億3,800万人以上のユーザーを抱え、AIやクラウドコンピューティング、サイバーセキュリティーなどの分野において力を注いでいる。
AI転換で新興国市場の主導権狙う 国家間協力に発展も
KTは今回の提携により、既存の通信インフラに加えてAIを軸とした事業モデルの転換を進めたい考えだろう。
本提携に先立ち、ベトナム政府関係者とも協議を進めてきた。KTのキム・ヨンソプ代表はベトナムのグエン・チー・ズン副首相らと面会し、国家レベルでの技術協力について意見を交わしたという。
KTとベトテルは、今回の協力が単なる企業間の連携にとどまらず、韓国とベトナム両国の産業戦略に資する国家的な協力モデルとなることを見込んでいるようだ。
一方で、AIやクラウド事業の展開にはデータ保護やサイバーセキュリティといった課題も残されていると考えられる。今後は規制対応やインフラ整備も重要な焦点になるだろう。
韓国の先進技術とベトナムの成長市場が融合することで、東南アジア全体におけるAIインフラの標準モデルになり得るのか、今後の展開に注目したい。