Aiロボティクス、広告費15倍で急成長 AIとデータ融合の自動運用で成果

2025年5月27日、AIマーケティング事業を展開するAiロボティクスは、Meta主催の「Meta Festival Japan 2025」にて自社の広告運用AIシステム「SELL」を披露した。Metaとの連携を軸に売上142億円を達成し、広告費は前年比15.2倍に拡大している。
Meta連携の自動広告運用で収益拡大
Aiロボティクスは、Metaが主催する国内イベント「Meta Festival Japan 2025」に登壇し、自社開発のAI広告運用システム「SELL」を披露した。
同社代表の龍川誠氏は、Metaとの戦略的連携による急成長の軌跡を語り、2024年度の売上142億円、営業利益24.8億円という実績を明かした。
この急成長の原動力は、AIとマーケティングデータの高度な融合にある。「SELL」はMetaの「Conversions API(※1)」を活用し、マーケティングデータをMetaプラットフォームにリアルタイムで連携。広告配信と効果測定のサイクルを自動化しており、人的オペレーションを極限まで排除している。
さらに、Metaが提供する広告最適化機能「Advantage+(※2)」を80%以上の案件に適用し、成果の高いクリエイティブに即座に予算を再配分。パフォーマンス重視の運用設計が実現されている。
また、AIによるパーソナライズド広告生成にも注力。年齢や性別、ライフスタイルに応じた訴求軸で広告を大量生成し、ブランド訴求から価格訴求まで多角的なアプローチを可能としている。
同社はAI技術を駆使し、スキンケアブランド「Yunth」や美容家電「Brighte」などのD2Cブランドも展開している。
AI技術を活用したマーケティング戦略により、広告投資は前年比15.2倍と急伸し、国内マーケティング界での存在感を急速に高めている。
広告運用の常識が変わる 人手なき時代の到来とそのリスク
Aiロボティクスの成功は、AI主導による広告運用の可能性を業界に示すものとなった。特に、従来は属人的なノウハウに頼っていた広告最適化プロセスを、完全自動化によって代替できる点は、人的リソースの限られる企業にとって大きなメリットである。
さらに、パーソナライズされた広告が短時間で量産可能となれば、ターゲットとのエンゲージメント向上に直結する。これは、スピードと精度が問われるD2C領域においては特に有効であり、業界構造そのものに影響を及ぼす可能性がある。
一方で、AIが判断の中核を担うことで、意図しない表現やターゲティングの暴走といったリスクも内包する。とくに、クリエイティブの質や倫理的配慮をどのように担保するかは、今後の課題として残るだろう。
加えて、プラットフォーム依存度の高さも懸念材料となる。Metaとの連携は成果を押し上げた一方で、仕様変更やポリシーの変更が直接的に業績に影響を及ぼす可能性がある。柔軟性のある設計とリスクヘッジ策の構築が、今後の持続的成長の鍵となりそうだ。
※1 Conversions API:Metaが提供する広告主向けのインターフェース。ウェブサイトやサーバー上のユーザーデータを直接Metaに送信し、広告の効果測定や最適化に用いる。クッキーに依存しないトラッキングが可能。
※2 Advantage+:Metaが展開する自動入札・クリエイティブ最適化機能群。従来の手動調整をAIが肩代わりする。