AI Shift、ボイスボット「AI Messenger Voicebot」をコールセンター向けAIエージェントとしてリニューアル  

2025年4月8日、サイバーエージェントグループのAI Shiftが、コールセンター向けAIエージェント「AI Messenger Voicebot」の大幅なリニューアルを発表した。
生成AIの会話能力を活用し、顧客体験と業務効率の両立を実現する仕様に刷新された点が注目されている。

生成AIによる対話性能の進化で、顧客対応の質と業務効率を同時に向上  

AI Shiftが展開する「AI Messenger Voicebot」は、今回のリニューアルで生成AIを用いた高度な会話制御を導入。顧客の発言内容を文脈に沿って理解し、より正確に用件を特定する仕組みが整備された。  

これまでは、顧客が自身の要望を明確に伝えなければ、適切な対応が困難だったが、最新のVoicebotでは音声認識を起点に、顧客の本当の意図を読み取り、能動的な応答が可能になっている。

たとえば「席は空いていますか？」という曖昧な質問にも、「予約」という目的を的確に見抜き、次の対話へとスムーズに誘導する。  

また、会話の中で不足している情報だけをヒアリングする設計が導入されたことにより、顧客の発話負担が軽減された点も見逃せない。
たとえば、「再配達をお願いしたい」という要望を受けた場合、不足情報から次のヒアリング内容（伝票番号など）を決められる。

業務処理の観点でも、顧客からの情報を高精度で取得することに成功している。
商品番号や住所などのデータを高精度に聞き取ることで、従来人手に頼っていた部分の効率化が進む見通しだ。

AI Messenger Voicebotは、業務の現場における実用性とユーザー体験の両面を大きく押し上げる要素を備えているといえる。   

業界の視線集まるAI Shiftの戦略、今後の展開と競争環境のゆくえ  

 AI Shiftは、サイバーエージェントグループのAI技術中核を担う企業として、今回のリニューアルを皮切りに、さらなる市場拡大を狙っている。

AI Messenger Voicebotの実装による顧客対応の最適化に対しては、高い期待が寄せられるだろう。特に、人的リソースの逼迫が課題となっている顧客窓口の現場では、生成AIによる業務の自動化・効率化は喫緊のニーズとなっている。  

一方で、他社も同様のAIボイスボットを市場に投入しているため、音声UI領域の競争は今後さらに激化すると思われる。
Google CloudのDialogflowや、LINE CLOVAなども高精度な音声対話システムの提供を進めているため、どのサービスがユーザーにとって最もストレスフリーな対話体験を実現できるかが、今後の競争軸となるだろう。  

今後、AIボイスボットは、コールセンターという領域にとどまらず、保険、医療、交通などの分野にも活躍領域を拡大させていくだろう。