信州大と千葉大、昆虫の技術を応用した次世代ドローンで5メートル先の匂い源を特定
信州大学と千葉大学の研究チームは、2025年2月20日、昆虫の触角を活用したバイオハイブリッドドローンの開発に成功したと発表した。ドローンは最大5メートル先の匂い源を特定でき、災害救助や危険物質の検出などへの応用が期待されている。
昆虫の嗅覚を模倣した革新的なドローン技術
研究チームは、昆虫の高感度な嗅覚を持つ触角をドローンに組み込むことで、匂いの発生源を特定する技術を開発した。特に、カイコガの触角を活用することで、匂いを追跡する能力を向上させることを目指している。
このドローンには、匂いセンサを特別なカバーで覆うことで、匂いの方向感知能力を強化する技術が搭載されている。これにより、左右45度の範囲で匂いを強く検出できるようになった。また、昆虫の行動を模倣した段階的回転アルゴリズムを導入し、戦略的に動きを停止することで探索精度を向上させている。
さらに、匂いセンサの応答速度を向上させるために、信号処理技術の改良が施された。
リアルタイムでの匂い検出が可能となり、移動する対象物の特定能力が強化された。特定の化学物質に対する選択性も高まり、誤検出のリスクが低減されている。
飛行制御システムにも改良が加えられた。
環境条件に応じた自動適応機能を持つことで、強風下や狭い空間でも安定した飛行が可能となった。この技術は、従来のドローンでは難しかった都市部での探索任務にも適用できる可能性を秘めている。
これらの技術改良により、ドローンは最大5メートル先の匂い源を特定できる能力を得た上に、探索精度が従来のモデルの2倍以上に向上した。
この成果は、匂いを利用したナビゲーション技術の新たな記録となる。
災害救助や危険物質検出への応用と今後の展望
次世代ドローンは、災害救助やインフラ点検、危険物質の特定など、さまざまな分野での応用が期待されている。特に、視覚情報が利用できない環境での活用が見込まれており、匂いを手がかりに要救助者の発見や危険物質の検出が可能となるだろう。
研究チームは、災害時の要救助者探査に向けてさらなる研究開発を進めており、匂いを利用した新しい救助システムの実現を目指している。
具体的には、災害現場での実験や新たなセンサ技術の開発などが考えられる。
研究者たちは、昆虫の触角を利用した技術がもたらす新たな可能性について期待を寄せており、今後の研究がさらなる技術革新につながると考えている。
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