BYD、「天神之眼」でEV市場を牽引 自動運転技術搭載で競争力を強化
2025年2月20日、中国の電気自動車メーカー、比亜迪（BYD）は、最新の先進運転支援システム（ADAS）（※）「天神之眼」を全車種に搭載する計画を発表した。このシステムは、スマートフォンを利用した遠隔駐車機能や、AIを活用した高度な運転支援機能を提供する。
BYDは全モデルの「知能化」を進め、自動運転技術をより多くの消費者に提供することを目指している。
本稿では、「天神之眼」の詳細と、BYDの戦略について考察する。
「天神之眼」 多様なグレード展開とAI技術の導入
「天神之眼」は、価格帯に応じて3つのグレード（A、B、C）に分かれている。最も高性能なグレードAは、プレミアムブランド向けに設計され、エヌビディアの高性能チップを搭載する。中間グレードBは、レーザースキャナーを用いた機能を持ち、低価格帯のグレードCは、カメラを利用した基本的な運転支援機能を提供する。
BYDは、価格が約69,800元（約145万円）からの低価格モデルにも「天神之眼」を搭載することで、自動運転技術の普及を加速させる意向を示している。
また、BYDは、中国のスタートアップ企業「ディープシーク」の生成AI技術をシステムに統合し、運転支援機能の向上を図っている。この技術により、よりパーソナライズされた運転体験が提供されると期待される。
自動運転技術の普及とBYDの戦略 市場への影響
BYDは1995年に設立され、電池製造から始まり、現在では世界最大の電気自動車メーカーの一つとなっている。2023年には、世界のEV市場でのシェアが急増し、特に中国国内での販売が好調だ。
「天神之眼」の搭載は、BYDの競争力をさらに高めるだろう。競合他社であるテスラは高価格帯のモデルに自動運転機能を提供しているが、BYDは低価格モデルにも同様の機能を搭載することで、幅広い層の消費者にアピールしている。
自動運転技術は、交通事故の減少、運転の負担軽減、環境への配慮など、多くの利点をもたらす。BYDの戦略は、他のメーカーにも影響を与え、自動運転技術の普及を加速させる可能性がある。BYDは、今後も自動運転技術の開発を進めると同時に、新モデルの投入を計画中であり、AI技術のさらなる統合を目指している。
※ADAS（先進運転支援システム）：Advanced Driver-Assistance Systemsの略。車両に搭載されたセンサーやカメラなどの情報をもとに、運転を支援するシステムの総称。
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