マスク氏の弁護士、OpenAIが営利組織への移行中止なら買収を撤回すると書面で明らかに

AIテクノロジー業界に大きな波紋を広げているOpenAIの組織再編を巡り、新たな展開が明らかになった。イーロン・マスク氏の弁護士は2025年2月12日、裁判所に提出した書面において、OpenAIが営利組織への移行を中止する場合、974億ドルの買収提案を撤回する意向を示したのだ。
マスク氏の戦略とOpenAIの反応
マスク氏側の弁護士は、提出書面において重要な条件を提示した。
OpenAIの理事会が非営利団体としての使命を守り、組織体制の転換を中止することである。これにより他の企業から買われる可能性のある「売り出し中」という状態を解消できれば、買収提案を撤回するという。
OpenAIの非営利組織としての本来の目的を維持したいというマスク氏の意図が読み取れる。
しかし、この提案に対してOpenAI側は明確な姿勢を示している。アルトマンCEOは2月11日、パリで開催されたAIアクションサミットにおいて、「当社は売り物ではない」と断言。さらに、「イーロンは長い間、あらゆる謀略を仕掛けてきた。今回の出来事もそれと同様で、われわれの足を引っ張ろうとしているだけだ」と批判的な見解を示した。この見方を裏付けるように、取締役会に近い関係者によれば、2月11日午後の時点で正式な買収提案すら受け取っていないという状況だ。
マスク氏とアルトマン氏は、最初協力関係にあったが、2018年マスク氏がOpenAIの取締役を辞任して以降は、対立が深まっている。
参考 : イーロンマスク氏とOpenAI 協力から対立へ、その軌跡を辿る
非営利から営利への移行を巡る攻防
OpenAIは現在、AIモデル開発に必要な巨額の資金を確保するため、組織の一部を営利企業として運営することを目指している。
具体的には、非営利組織であるOpenAIが、営利企業部門を支配する現在の構造から、営利企業としての活動を拡大する方向への移行を検討しているのだ。しかし、マスク氏の974億ドルという買収提案により、この移行プロセスがより困難になる可能性がある。非営利組織が持つ営利部門への支配権をどのように評価し、その価値を決定するかという問題が、さらに複雑化すると懸念されている。
この動きに対し、マスク氏は昨年8月、アルトマン氏らを提訴し、営利組織への移行阻止を裁判所に求めていた。マスク氏は、OpenAIが非営利組織に戻ることを望んでいるようだ。
マスク氏は、OpenAIの理念に基づき、非営利に戻るべきだという主張をしているが、マスク氏自身も営利AI企業である「xAI」を所有しており、AI分野で競合するOpenAI社の競争力を削ぐ狙いもあるのではないかと考えられる。
まとめ
今回の買収提案とその条件は、AI企業の組織形態と価値評価における新たな課題を浮き彫りにした。非営利組織から営利組織への移行という複雑なプロセスには、法的、経営的、そして倫理的な多くの課題が存在する。
今後、OpenAIの対応によっては、AI業界全体の組織形態や価値評価の在り方に大きな影響を与える可能性がある。特に、技術革新と組織形態の適切なバランスを模索する他のAI企業にとって、重要な先例となることが予想できる。
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