「Rakuten AI 2.0」と「Rakuten AI 2.0 mini」が日本語AIを加速させるか
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2025年2月12日、楽天グループ株式会社が日本語に特化した大規模・小規模言語モデルを公開した。日本国内のAI開発に大きな追い風となるのではないかとみられる。
新アーキテクチャがもたらす性能向上
「Rakuten AI 2.0」は、8つのサブモデルそれぞれが70億パラメータを備えた大規模言語モデルであり、従来モデルを凌駕する日本語処理能力を発揮するといわれている。
最大の特徴はMixture of Experts(※1)と呼ばれる手法を取り入れた点だ。入力されたトークンごとに最適なサブモデルを選択し、計算効率を格段に高めることに成功した。
実際に、前世代の「Rakuten AI 7B」と比較して自然言語処理タスクの指標が62.93から72.29へ向上したことが報告されており、この数値は国内外の専門家からも注目を集めている。
「Rakuten AI 2.0 mini」は15億パラメータを持ち、モバイル端末などリソースが限られた環境でも導入しやすい設計になっているため、顧客のプライバシーを強く意識した用途にも活用できる可能性が高い。
消費計算量を大幅に削減しながら高い精度を維持できる点は、大規模モデルの扱いに苦慮してきた開発者にとって朗報といえる。
両モデルは高品質な日本語および英語コーパスを継続的に取り込んで学習を重ねており、精緻なデータフィルタリング手法を用いたデータセットによって精度が底上げされたとみられる。楽天はこれらの取り組みを通じて企業の創造性を後押しし、日本発のAI技術を世界へ広める一手としたい考えだ。
国内AI市場への影響と今後の展開
Rakuten AI 2.0の登場は、日本語に特化したAI開発を一段と促進すると期待されている。
とりわけ、オープンソース(※2)コミュニティへの公開が計画されている点は、国内の開発者や企業にとって強力な追い風となるだろう。独自のニーズに合わせてモデルを改変しやすくなるため、専門性の高い産業領域や地域の事情に即したアプリケーションが増えることが予想される。
また、高性能モデルと小規模モデルの両輪が用意されたことで、大企業だけでなく中小規模のプレーヤーもAIを導入しやすくなり、サービスの多様化や競争活性化につながると考えられる。さらに、モバイル端末への実装が可能になることで、低遅延かつプライバシーに配慮したサービスが今後増加する見通しだ。
国内企業がこれらの技術を活用すれば、問い合わせ対応の自動化や高度なデータ解析を組み込んだ新たなビジネスモデルを生み出しやすくなると考えられる。
楽天は先行者としての優位を確保しつつ、他社との連携を模索しながら日本のAI産業をけん引したい思惑があるようだ。
※1 Mixture of Experts:大規模モデルを複数の専門家サブモデルに分割し、入力に応じて動的に選択することで計算量を最適化する技術の総称
※2 オープンソース:ソフトウェアのソースコードを公開し、改変や再配布を許容することで多様な開発者が参加しやすくなる形態
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