アメリカ政府がビットコインの購入を検討　トランプ政権の暗号資産責任者が会見で示した今後の方針

2025-02-05

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注目の会見で、新たなビジョンが示された。
トランプ政権のAI・暗号資産責任者に就任したデービッド・サックス氏が、2月4日の初の記者会見において、「暗号資産の黄金時代を作る」という野心的なビジョンを示したのだ。同時に、具体的な政策と包括的な戦略も語っている。
米国政府による暗号資産の制度的認知は、市場構造を根本から変える可能性を秘めており、投資家にとって新たな機会とリスクをもたらすものとなっている。

デービッド・サックス氏は、もともとIT業界の重鎮として知られ、初となる今回の会見は注目されていた。以下の記事では、サックス氏について詳しく解説している。

参考 : https://plus-web3.com/media/trunptechsacks20250204/

政府主導の市場構造改革

サックス氏は、暗号資産を米国の金融システムに正式に組み込むことを政策ビジョンの重要なポイントとして強調した。具体的な施策として注目されるのが、GENIUS Actの提出である。この法案は、ステーブルコインの発行手続きを明確化し、発行者の規模に応じて連邦および州の規制当局による監督体制を確立するものだ。
サックス氏は記者会見で、「技術革新をアメリカ国内で維持したい」と強調し、金融のデジタル化における価値創造を国内で実現させる方針を明確にした。

この法案が通れば、従来の取り締まり中心の規制から、イノベーション促進型の規制への転換が行われることになる。ステーブルコインに関する明確な法的フレームワークが確立すれば、決済インフラとしての暗号資産がさらに実用的な資産となっていくだろう。機関投資家の参入障壁を下げ、市場の成熟度が高まることが期待される。

ただし、発行者の規模に応じた規制体制は、大手金融機関に有利に働く可能性があり、スタートアップや小規模事業者にとっては参入障壁となるリスクがあるため、注視が必要だ。この移行期における規制の不確実性や、既存の金融システムとの整合性の確保など、課題も残されている。

ビットコインを政府が保有することを検討する

さらに目を引いた発表は、米国政府によるビットコイン保有の検討である。
これは単なる投資戦略ではなく、国家の資産戦略における暗号資産の位置づけを根本から変える可能性を持つ。ドルを基軸通貨とする米国が暗号資産を準備資産として認めることは、デジタル時代における新たな価値保存手段としての地位を公式に確立することを意味する。

また、世界最大の経済大国が暗号資産を保有することで、グローバルな金融システムにおいても、暗号資産の正統性が高まるだろう。政府がビットコインを準備資産として保有することは、暗号資産が政府という権威、権力から認められることを意味し、他の機関投資家の参入を促す触媒になると予想される。

また、上院と下院による暗号資産関連法案を前進させるための合同作業部会の設立も発表された。この動きは、規制の明確化と市場の透明性向上につながると期待されている。ただ、現在アメリカは上院・下院ともに共和党が多数を占めるため、拙速に法案が通らないか注視する必要がある。

また、証券取引委員会（SEC）と商品先物取引委員会（CFTC）の監督範囲を明確にする方針も出され、投資商品としての暗号資産の位置づけが明確になる見通しだ。

今後の展望

サックス氏の記者会見は、米国政府が暗号資産を金融システムの重要な構成要素として見なしていることを顕著に示している。一方で、会見で期待されていたのは今回の発表以上の規制緩和だったためか、市場の反応は慎重だ。
ビットコイン価格は会見後に下落し、投資家の間では具体的な実施時期や詳細への懸念が残る。

今後100日間は、法案の最終化や新たな規制フレームワークの実装など、重要な局面を迎える。投資家は、規制環境の変化がもたらす機会とリスクを慎重に見極める必要があるだろう。特に、政府のビットコイン保有検討や、ステーブルコイン規制の具体化は、市場構造を大きく変える可能性のある要因として注目が必要だ。

米国の暗号資産政策は、イノベーションの促進と規制の明確化という二つの軸で進められようとしている。この変化は、暗号資産市場の成熟度を高め、新たな投資機会を生み出す可能性を秘めている。投資家には、政策動向を注視しながら、長期的な視点での投資戦略の構築が求められる時期が訪れているのではないだろうか。