日本でも「DeepSeek」警戒の動き 政府の個人情報保護委が注意喚起
2025年2月3日、日本の個人情報保護委員会は、中国の新興企業DeepSeekが開発した生成AIに関する注意喚起を発表した。
同委は、DeepSeekのプライバシーポリシーを日本語に翻訳し、公式ウェブサイトで公開。ユーザーが入力したデータが中国国内のサーバーに保存され、中国の法令が適用される点を指摘し、警戒するよう勧告している。日本の個人情報保護法とは異なる運用がなされるため、利用者には慎重な対応が求められる。
DeepSeekの個人情報保護上の懸念
DeepSeekは中国のAIスタートアップであり、低コストかつ高性能なAI技術をオープンソースで公開したことから、一躍注目を集めた。一般層の注目も大きく、App Storeでは、一時期、ChatGPTを抜いて1位を獲得していた。
ただ、DeepSeekに潜在的なリスクがあることは、各国が様々な形で指摘していた。
今回日本政府は、DeepSeekの生成AIが取得したデータが中国国内のサーバーに保存される点において、注意喚起を行った。入力したデータは、中国の個人情報保護法およびサイバーセキュリティ法の適用を受けることになる。中国の公安機関が企業に対し、必要に応じて個人情報の提供を求めることが可能となるのだ。
このため、日本の利用者のデータも監視や収集の対象となるリスクがある。
日本の個人情報保護法と異なり、中国の法制度では国家の安全保障を理由としたデータの提供義務が明確に定められている。この違いを踏まえ、個人情報保護委員会は、DeepSeekのプライバシーポリシーを日本語に翻訳し、公表することで、リスクを明確に示した形だ。
国際社会の動向と今後の見通し
DeepSeekの生成AIに対する懸念は、日本だけでなく国際的にも広がっている。
欧州連合(EU)では、GDPR(一般データ保護規則)(※)に基づき、個人情報の厳格な管理を求めている。このため、DeepSeekのAIシステムに関しても、透明性の確保とデータの保護を求める声が高まっている。特に、イタリアではDeepSeekのアプリがアプリストアから削除されるなど、具体的な規制措置が取られ始めている。
参考 : https://gigazine.net/news/20250130-deepseek-app-unavailable-italy/
米国でも、国家安全保障の観点から中国企業のAI技術に対する警戒が強まっている。連邦政府機関や重要インフラに関わる企業に対し、中国企業のAIツールを使用しないよう勧告が出されるなど、規制強化の動きは実際に進行中だ。
こうした国際的な動向を受け、日本でもDeepSeekの生成AIの利用に関する議論が活発化する可能性が高い。個人情報の保護を重視する国内企業や公的機関においては、DeepSeekのツールを慎重に扱う必要があるだろう。また、政府の規制が強化されることで、日本国内での利用が制限される可能性も否定できない。
※GDPR(一般データ保護規則):EUにおける個人情報保護に関する法律であり、違反企業には高額の罰金が科される可能性がある。
まとめ
日本政府がDeepSeekの生成AIに関する注意喚起を発表した背景には、データの保存場所と適用される法制度の違いがある。中国のサーバーに保存されるデータは、中国の法律の下で管理されるため、利用者の個人情報が監視・収集される可能性がある。
この問題は日本国内のみならず、国際社会でも懸念されており、EUや米国ではすでに規制強化の動きが進んでいる。
今後、日本国内でもDeepSeekの利用に関する議論が活発化し、法的規制の導入が検討される可能性が高い。利用者は、自身の個人情報の取り扱いについて慎重に判断し、リスクを十分に理解した上でサービスを利用することが求められる。
Plus Web3は「Web3領域に特化したキャリア支援サービス」
Plus Web3では、Web3で働きたい人材と、個人に合わせた優良企業をマッチングする求人サービスを行っています。
- Web3で働くことも考えている…
- Web3のインターン先はどこがいいか分からない…
- どんな知識やスキルがあれば良いのか分からない…
このような悩みを抱える人は、一度「無料キャリア相談」にお越しください。あなたにマッチした優良企業をご紹介いたします。