非上場企業への投資の民主化は実現するのか ”トークン化”のインパクトをロビンフッドCEOが語る
急成長するスタートアップ企業への投資で、100%を超える成長率を達成する企業が相次いで登場し、投資効果も高まっている。
しかし、これらの企業への投資機会は、一部の裕福な投資家にのみ開かれているという問題がある。米国の投資プラットフォーム「ロビンフッド」のウラジミール・テネフCEOは、この不平等な状況を打開する解決策として、ブロックチェーン技術を活用した資産の「トークン化」を提唱している。
「トークン化」により、一般の投資家でもOpenAIやSpaceXといった急成長企業に、上場前の早い段階から少額で投資することが可能になる。
見過ごされる非上場企業の投資機会
非上場企業の成長性は、近年著しい伸びを示している。
インドの金融サービス企業Orbis Financialは、直近2年間で113.83%という驚異的な収益成長率を達成している。また、グローバルホスピタリティ企業OYOは、2022-23年度に初めて本業での収益が黒字化し、約430億円の利益を計上。医療テクノロジー企業PharmEasyにおいては、前年比145.3%の収益成長を記録している。
しかしアメリカでは、現状ではこれらの企業への投資機会は、純資産100万ドル以上もしくは年収20万ドル以上の適格投資家に限定されている。これは、リスクの高い投資先から一般投資家を守る目的の制度だが、テネフCEOによれば、この基準により米国世帯の約80%が投資機会から締め出されているという。
米国における上場企業数は1996年と比較して約半分に減少しており、一般の投資家にとっての選択肢は少なくなっている。日本においても、似たような制度である特定投資家制度が存在し、資産がかなり大きくなければ、アクセスが制限されるという問題がある。
https://market.jsda.or.jp/shijyo/j-ships/seido/seido/tokuto.index.html
トークン化がもたらす投資革命
この状況を打開する鍵として注目されているのが、資産の「トークン化」である。
トークン化は、高額な不動産を区分所有できるように、企業の株式を小さな単位に分割して、誰でも手の届く金額で投資できるようにする仕組みだ。トークン化を用いれば、1株100万円の非上場企業の株式を、1万円単位で購入できるようにすることも可能となる。
これをブロックチェーン技術で安全に管理することで、投資家はスマートフォンを通じて24時間365日、自分の予算に合わせた金額で企業へ投資を行うことが可能となる。
テネフCEOは、トークン化により評価額1,000億ドル以上の非上場企業への投資機会が一般投資家にも開放されると指摘する。投資機会が増えることで、企業側にとっても、従業員の権利確定や株式保有要件などの保護を維持しながら、グローバルな投資市場から資金を調達できるメリットがある。
しかし、米国ではトークン化に関する規制整備が遅れている。日本は、法整備は進行中であるものの、現物拠出・現物交換型ETFの導入ができていないことなどが、課題としてあげられる。一方、欧州連合、香港、シンガポール、アブダビなどでは、既にセキュリティトークンの取引に関する包括的な規制の枠組みを導入している。
まとめ
投資機会の民主化は、経済的公平性の実現において重要な課題だ。
現在のインド株式市場では、わずか4%の個人しか定期的な投資を行っていない現状がある。トークン化技術の導入によって、この状況が根本的に変わる可能性があるだろう。適切な規制の整備と投資家保護の枠組みの確立により、誰もが成長企業への投資機会にアクセスできる時代の到来が期待されている。
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