【トランプ×Web3 Part2】トランプの大統領再任による仮想通貨・Web3業界の不安点は?
前回の【トランプ×Web3 Part1】では、トランプが2024年の大統領選で勝ったことによりビットコインの価格が急騰したことや、彼が仮想通貨・Web3に肯定的な姿勢を示していることを紹介しました。
しかし、彼の大統領選勝利に対して、業界での不安点や懸念材料も存在します。
本記事では前回の記事とは対照的に、2025年1月20日のトランプ大統領再任によって生じる仮想通貨・Web3業界へのマイナスポイントをまとめます。
もともとトランプは仮想通貨の懐疑論者
トランプは、2024年の大統領選では一貫して仮想通貨に対し肯定的な態度をとっていますが、前回の大統領任期中は暗号資産全般に対して、懐疑的な(否定寄りの)意見を表明していました。
大統領在任中の2019年、彼は公式SNSで以下のコメントを残し、明確に暗号資産を否定しています。
私はビットコインやその他の暗号資産を支持しない。それらは貨幣ではなく、価値が非常に不安定であり、空虚な存在でしかないからだ。また、規制されていない暗号資産は、麻薬取引やその他の違法行為などの犯罪を助長する可能性がある……
(上記ポストをもとに筆者翻訳)
このコメントに加えてトランプは当時、米ドルの価値や信頼性を強調するプロモーションも行っていました。
2021年にビットコインの市場相場が上昇している時期でさえ、「ビットコインは詐欺のようなものであり、米ドルこそが世界通貨だ」と主張し続けました。
このようにトランプは前回在任中は暗号資産に否定的であるため、またもや否定派になる可能性もゼロではないでしょう。
いずれにせよ、今までの彼の態度からは一貫した「アメリカ・ファースト」が読み取れるため、「アメリカに対して仮想通貨がどれほど貢献できるか」がWeb3に対するトランプの姿勢を決定づけると考えられます。
規制緩和による安全性の欠如
前回記事でも紹介したように、現時点でトランプは仮想通貨やWeb3を積極活用する方向性です。
企業や投資家が自由に取引できるようにするために暗号資産の規制緩和を行うことが考えられますが、それは「取引の安全性」を低下させる要因にもなるため注意が必要です。
トランプは、暗号資産に対して厳しい規制を推進しているSEC(証券取引委員会)のゲイリー・ゲンスラー委員長を解任する意向を示しています。それにより、投資家保護がおろそかになる可能性があります。
一般的に、Web3業界における「企業活動の行いやすさ」と「投資家の安全性」はトレードオフの関係にあります。
そのため、業界の規制を緩和すると、詐欺やマネーロンダリングなどの犯罪が増えるのは仕方ないともいえますが、利用者としてはより一層、犯罪に対する警戒心が必要となります。
政策実行(選挙公約の実現)への不安感
トランプの大統領再任に際して、現在発表している暗号資産の選挙公約が実際に行われるかどうかという不安感があります。
Part 1の記事でも述べたように、トランプは「アメリカを仮想通貨の首都、ビットコインの超大国にする」というスローガンを掲げ、暗号資産に関する様々な公約を宣言してきました。しかし、それには政策の具体性がないという問題点も指摘されています。
具体性に疑問を持たれているトランプの公約を以下に4つ紹介します。
「ビットコインの戦略的準備資産化」
トランプは「政府が保有するビットコイン(※)を戦略的準備資産として位置づける」と述べていますが、具体的な実施方法や計画については詳細が示されていません。
(※)アメリカ政府は、金融犯罪事件で約21万BTC(約1.7兆円)を押収・保有している。現時点では、保有BTCの売却や追加購入は公言していない。
「SEC委員長の交代」
トランプは再選後にSEC(証券取引委員会)の委員長を解任し、仮想通貨に好意的な人物を選ぶとしていますが、具体的に誰を指名するのか、またその人物の政策方針については言及されていません。
「暗号資産による政治献金の受け入れ」
トランプ氏は暗号資産による政治献金を受け入れる意向を示していますが、その具体的なプロセスや影響についての詳細は不明です。
「法整備や規制緩和の計画」
トランプ氏は暗号資産業界に対して支援的な規制環境を提供する意向を示していますが、どのような法整備や規制緩和を行うのか、その具体的な内容は明らかにされていません。
これらの公約のように、トランプは表面的な政策案しか表明していないため、ただ選挙の票を得るためだけにWeb3業界に好意的な姿勢を示し、実際は効果的な施策を実施しない可能性も存在します。
意見分断によるWeb3業界の不安定化・複雑化
アメリカは人々のバックグラウンドや考え方が多様であるため、近年はその妥協案が見出せず、異なる意見を持つ人との間で社会に分断が生じている問題があります。
政治においては、党派によって暗号資産への見解が異なることで知られています。
トランプ率いる共和党ではおおむね推進派が多い一方、現大統領のジョー・バイデンが属する民主党では暗号資産に対して厳格な姿勢が示されており、両者間の意見不一致による溝は広がっています。
これにより、仮想通貨やWeb3への政府施策に一貫性がなくなり、優柔不断な決定にWeb3業界が振り回されるリスクがあります。
また、アメリカでは各州の議会が権限を持っているため、暗号資産に対して州ごとに違う法律が施行されています。
例えば、ニューヨーク州では厳しい規制が敷かれている一方、ワイオミング州は業界に友好的であり、ブロックチェーン技術発展に向けた環境が整備されつつあります。
この状況をプラスに考えれば多様な選択ができるといえますが、マイナスに考えれば複雑な仕組みの下で生活(企業活動)するため、多くの労力を要するといえます。
まとめ
トランプが大統領に再任することで、仮想通貨・Web3業界には多くの影響があります。現時点では業界にとってポジティブな情報が多いですが、本記事で取り上げたような懸念材料も存在します。
実際にどうなるかは2025年1月20日の就任まで未確定ではありますが、いずれにしても、仮想通貨関連の相場は大きく上昇or下落する可能性が高いです。
その値動きに注意して、自己判断・自己責任で業界と関わるようにしましょう。
次回の【トランプ×Web3】では、ビットコインのようにトランプの大統領選勝利によって大きく価格が動いた仮想通貨に迫ります。
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