みんがく、「スクールAI認定アドバイザー制度」創設 教育現場に生成AIの実践知を届ける

2025年5月23日、教育現場向け生成AIプラットフォーム「スクールAI」を展開する株式会社みんがくが、新たに「スクールAI認定アドバイザー制度」を創設し、10名の教育関係者を認定アドバイザーとして発表した。
全国の教育現場へAI導入支援 10名が初代アドバイザーに就任
生成AIを活用した教育支援の実装に向け、株式会社みんがくが新制度を打ち出した。「スクールAI認定アドバイザー制度」は、生成AIの実践的な利活用に精通した教員や研究者を認定し、その知見を広く共有することを目的とする。
この動きは、教育現場のニーズを背景にしている。一般社団法人 教育AI活用協会が2025年3月に実施した調査では、教育機関の約9割が生成AIに関心を寄せている一方で、導入に踏み切っているのは全体の4割に満たない状況だ。
そこで、同社は「現場で使えるAI活用ノウハウ」の普及を目指し、東北学院大学の稲垣忠氏や東京学芸大学の鈴木直樹氏、中部大学の樋口万太郎氏など10名を初代アドバイザーとして任命した。各氏は地域の学校現場における導入支援や効果的な活用事例の発信を担う。
スクールAIは、英作文の添削や行事案内文の作成、保護者向け報告資料の自動生成など、教育業務に特化した100種類超の生成AIテンプレートを備える。専門知識を要せず活用でき、業務効率化と学習の個別最適化を同時に支援するのが特徴だ。
生成AI活用は教育の標準になるか 制度が拓く展望と課題
「スクールAI認定アドバイザー制度」がもたらす最大のメリットは、生成AIの実践知を教育現場に橋渡しする点にある。アドバイザーは単なる技術伝達者ではなく、現場との対話を通じて活用モデルを共創する役割を担うため、導入後の継続的な活用にも寄与するだろう。
また、生成AIの活用により、教員の事務負担が軽減されることで、本来注力すべき対話的・創造的な教育活動にリソースを割けるようになる。
さらに、個別最適化された学習支援が可能になる点は、生徒の学びの質を大きく変える起点ともなり得る。
一方で、運用面の課題も存在する。校務システムとの連携やセキュリティ体制の構築、生成結果の正確性やバイアス排除など、導入前後に求められる検討事項は多岐にわたる。現場の理解と制度的な支援がなければ、導入が形骸化する懸念もある。
それでも、アドバイザー制度の設立は、こうした課題に対して現場の視点から解決策を共有する仕組みとなり得る。
みんがく代表・佐藤氏は「この取り組みはただのツール提供ではなく、『教育の未来を本気で変える動き』と捉えている」と語っており、その言葉の通り、本制度は生成AIを教育の「未来標準」に近づける布石となるだろう。