ソラナ、新コンセンサスプロトコル「Alpenglow」を提案

米国時間2025年5月19日、ソラナの開発スタジオAnzaが、新たなコンセンサスプロトコル「Alpenglow(アルペングロウ)」を提案した。
この仕組みによりブロックチェーンの処理性能が劇的に向上し、リアルタイム性を求めるアプリケーションへの対応力が大幅に強化される見通しである。
高速性と効率性を追求した新機構「Alpenglow」が描くソラナの次世代像
「Alpenglow」はソラナブロックチェーンの中核を担うコンセンサスアルゴリズムを刷新する試みだ。
従来採用されていたTowerBFTに代わり、新たに「Votor(ヴォーター)」と呼ばれる仕組みが導入される。Votorはノード間の直接通信を用いた投票メカニズムであり、ブロックの承認スピードを飛躍的に向上させる見込みだ。
TowerBFTではブロックのファイナリティ(取引の確定)に平均12.8秒を要していたが、Alpenglowではこの時間がわずか150ミリ秒(中央値)にまで短縮される。
これはブロックチェーン基盤において「リアルタイム性能」が新たな標準になることを意味しており、ユーザー体験を根本から変える可能性がある。
さらに、ネットワーク内でのデータ伝播にも革新がもたらされる。
Alpenglowに組み込まれる「Rotor(ローター)」というサブプロトコルにより、従来のTurbineプロトコル以上の伝送速度が実現できる。
この技術的アプローチにより、ノードの負荷が均一化され、通信の安定性と速度が同時に向上する構造が形成されるだろう。
リアルタイムWeb3時代の扉を開く鍵となるか Alpenglowがもたらす期待と課題
Anzaは今回の提案にあたり、Alpenglowが単なる技術的改良ではなく、ソラナがWeb2インフラと真正面から競争できるブロックチェーンとなるための基盤になると語っている。
高速なファイナリティと効率的なデータ分配機構によって、チャットアプリやゲーム、リアルタイム分析を要する金融ツールなど、即時性を求められる分野への進出が現実味を帯びてきたと見られる。
特に、Web2におけるクラウドサービスやメッセージングツールの速度と安定性に匹敵する性能をブロックチェーン上で実現できれば、それは中央集権型システムからの大きな転換点になることだろう。
開発者にとっても、高速かつ柔軟なインフラの上でより複雑なユースケースを展開できることは、大きな魅力であると言える。
一方でAlpenglowはまだ提案段階にあり、実際の導入にはテストや検証が必要だ。
ノード運営者や開発者コミュニティからの合意形成、既存エコシステムとの互換性確保など、乗り越えるべき技術的・運用的な課題も残されている。
ブロックチェーンがインフラとして普及していく上で、Alpenglowのような「待たない」体験を可能にする基盤の登場は、極めて重要な意味を持つのではないだろうか。
ソラナの動向は、今後のWeb3インフラの進化を占ううえで注目すべき指標となるだろう。