新教皇レオ14世が示したAI時代の教会使命、産業革命との歴史的対比から見る未来像

2025年5月10日(現地時間)、新教皇レオ14世が枢機卿団に向けて行った初の公式演説で、教皇名の由来とともに「新たな産業革命」としてのAI時代における教会の役割について明言した。これは、ローマ・カトリック教会が技術革新にどう向き合うかを示す重要な一歩である。
レオ14世が教皇名に込めたAI時代への姿勢、レオ13世の思想を継承
2025年に教皇に選出されたレオ14世は、就任後初の枢機卿団向け演説において、教皇名の由来を明らかにした。
彼が選んだ「レオ14世」という名には、19世紀の産業革命期に活躍した教皇レオ13世への敬意と現代への警鐘が込められている。レオ13世は社会教義の基礎を築き、労働者の権利や資本主義の限界に対して教会が積極的に声を上げる必要性を訴えた存在である。
レオ14世はこの歴史を引き継ぎつつ、「AIの発展を中心とする現代の技術革新は、第二の産業革命と呼ぶにふさわしい」と発言し、教会がその中で果たすべき使命に言及した。
また、演説の終盤ではドナルド・トランプ前大統領がSNS上に投稿した、教皇の法衣を着用した自身の画像について触れ、「これは冒涜であり、我々はこのような行為を奨励しない」と非難した。
AI時代における宗教的権威、今後に注目
レオ14世の演説は、単なる就任の儀礼を超え、教会がAI時代にどう向き合うかを世界に示す意思表明だったと位置づけられる。
産業革命時代、レオ13世が教会が社会的・倫理的支柱としての存在感を示したように、AI時代にも再びその役割を担うことが求められているとの見解だ。
レオ14世の言及通り、現代のAI技術は、社会構造や労働観、さらには人間の意思決定そのものに影響を与えるほどの力を持っている。こうした中では、教会が持つ長年の倫理的知見や道徳的影響力は、政治や企業が対応しきれない領域において補完的な役割を果たす可能性があるだろう。
今後、レオ14世のリーダーシップのもとで、教会がどのようにAIやロボティクス、データ倫理といった分野に関与していくのか。それは、宗教界にとどまらず、テクノロジーをめぐる国際的な価値観の形成にも影響を及ぼすものとなるのではないだろうか。
倫理と技術の均衡を取る時代において、レオ14世がどのような動向を魅せるのか、今後も注目していきたい。