AIメモアプリ「NotebookLM」が進化　Gemini 2.5 Flash搭載で推論性能が大幅向上

2025年5月3日、GoogleはAIメモアプリ「NotebookLM」において、搭載する大規模言語モデルを「Gemini 2.0 Flash」から「Gemini 2.5 Flash」へアップデートしたと発表した。
新モデルは多段階推論に対応し、応答精度の向上が図られている。

複雑な問いに対応するGemini 2.5 Flashの特徴とは

NotebookLMの新たな搭載モデルであるGemini 2.5 Flashは、従来の2.0 Flashに比べて大幅な性能向上が実現されている。
その大きな特徴は、単に文章を生成するのではなく、複雑な問いに対して思考を巡らせながら応答を導き出す点にある。これまでよりも長時間にわたり処理を行い、より包括的かつ文脈を捉えた回答を返す能力を備えているのが特徴だ。

この「長考」機能の導入によって、多段階にわたる推論や、複数の情報源を統合した考察が求められる場面でも、高い精度を維持できるとされる。
実際、一部のベンチマークでは、OpenAI系のClaude Sonnet 3.7や、中国発のDeepSeek R1といった最新モデルを上回る性能が確認されている。
なお、今回のアップデートはあくまでテキストチャットに限定されており、NotebookLMが提供するポッドキャスト音声機能には影響しないという。

NotebookLMは2024年12月よりGemini 2.0 Flashを採用してきたが、今回の刷新によって、より高度な知的作業をAIが代替・補完できる環境が整った情報収集や思考支援ツールとしての汎用性が一段と高まったと言える。

導入拡大と今後の展望

NotebookLMの注目度は、今回のモデルアップデートによりさらに高まりつつある。

とりわけ注目すべきは、日本の大手企業における導入事例である。DeNAの南場智子会長が同ツールを積極的に活用している事実は、AIによる知的支援が経営層にも浸透しつつあることを象徴している。
会議記録やインタビューの要約、複数資料からの論点抽出といった実用的なシーンにおいて、NotebookLMはすでに活用されているという。

また、情報の検索、要約、音声化までを一気通貫でこなせるこのツールは、業務効率化のニーズが高いビジネス現場との親和性が高い。
企業によっては、社内マニュアルやFAQのAI要約ツールとしての活用も検討されており、情報資産の再活用という点でも評価が高い。今後のアップデートで音声応答機能にも同モデルが適用されれば、AIアシスタントの領域においても競争力を持つことになるだろう。

今後の展望として、Googleはさらなる推論性能の向上と、画像・音声・動画といったマルチモーダル対応への拡張も視野に入れているとみられる。
ユーザー体験の質を高めつつも、NotebookLMはビジネスにおける情報整理と意思決定の支援ツールとしての役割を強めていく可能性があるだろう。