OpenAI、マイクロソフトとの収益共有を半減へ 戦略的独立性強化の動きか

2025年5月6日、OpenAIが、提携先であるマイクロソフトとの収益共有比率を2030年までに半減させる方針を一部投資家に伝えていたことが明らかになった。
AI業界における両社の力関係や今後の戦略に注目が集まっている。
収益共有比率の見直しが示すOpenAIの自立路線
米メディアの報道によると、OpenAIは2020年代末までに、マイクロソフトと共有する収益の割合を現行の20%から10%へと削減する意向を示している。
これは、同社が一部の投資家に対し示したもので、2030年までに段階的な変更が進められる見通しである。
OpenAIとマイクロソフトの関係は、2019年の出資契約以降急速に強化されてきた。
マイクロソフトは現在もOpenAIの最大の出資者かつクラウドインフラの主要提供者であり、GPTモデルの商業展開にも深く関与している。
現行契約では、OpenAIが得た収益のうち20%をマイクロソフトと共有することが定められているが、今後はその割合が大きく見直される可能性がある。
一方、マイクロソフト側もこの動きを認識しており、契約期間中は「双方向の収益分配契約」が維持されることを確認している。
さらに、2030年以降もOpenAIの技術を活用し続けたいとの意向も表明していることから、関係解消には至らないと見られている。
OpenAI広報担当者は、この件について「マイクロソフトとの資本構成の見直しについて協議を進めることを楽しみにしている」とコメントしている。
業界への波紋と今後の展望
OpenAIによる収益共有比率の削減は、同社がより高い自立性と収益性を確保しようとする動きの一環だと考えられる。
AI業界において、モデルの開発やサービス提供の収益化は急速に進んでおり、その主導権を巡る競争は熾烈さを増している。
こうした中で、マイクロソフト依存からの脱却を図る姿勢は、他の大手テック企業との連携や独自の商用展開を見据えた布石とも解釈できる。
市場への影響としては、マイクロソフトの収益構造や今後のAI戦略に対して再考を促す可能性があるだろう。
また、他のAIスタートアップやクラウドプロバイダーにとっても、提携関係の見直しや条件交渉の参考となる事例になり得る。
さらに、今回の動きは、マイクロソフトがOpenAIに大規模投資を行ったリターン構造にも影響を及ぼす可能性があり、パートナーシップの在り方に新たな論点を投げかけている。
両社がどのようにバランスを取りながら協業を維持していくのか、今後の交渉経過に注目が集まる。