米サークル、日本でのUSDC展開を加速 ステーブルコイン普及へ本格始動

米ドル建てステーブルコイン「USDC」を発行する米サークルは、2025年3月25日に日本法人を通じた国内での取り組み強化を発表した。
SBI VCトレードなどの協業も進行しており、日本市場でのUSDC導入が本格化する見通しだ。
規制整備を追い風に、サークルが日本市場へ本格参入
米サークル(Circle Internet Financial)は3月25日、同社日本法人サークルジャパン(Circle Japan KK)を通じて、日本での取り組みを強化すると発表した。
主力通貨である米ドル建てステーブルコイン(※1)「USDC(※2)」の導入を推進する姿勢を鮮明にしており、日本市場におけるプレゼンス拡大を目指す。
この背景には、国内での法整備の進展と、ステーブルコインに対する関心の高まりがあるようだ。特に、2023年6月に施行された改正資金決済法により、ステーブルコインが「電子決済手段」として法的に認められた点は大きい。
同法に基づき、取り扱いには「電子決済手段等取引業」の登録が必要となるが、SBI VCトレードが3月4日に同登録を完了し、すでにUSDCのベータ版提供を開始している。
これにより、USDCの国内普及に向けた環境が整えられつつある。
サークルは、日本の現地パートナーシップを活用し、金融サービスやデジタル決済へのUSDC導入を後押しする方針だ。
USDCの本格ローンチは26日を予定しており、同時にバイナンスジャパンやビットバンク、ビットフライヤーといった主要な暗号資産取引所も、USDCの上場・配布を計画中であることを明かした。
※1 ステーブルコイン:価格が法定通貨などと連動するよう設計された暗号資産。価格変動が少なく、決済や送金に適している。USDCは米ドルと1:1の比率で裏付けされている。
※2 USDC(USD Coin):米サークルと米コインベースが共同で開発したステーブルコイン。発行額は米ドルの準備金に裏付けられており、価格の安定性と透明性が特徴とされている。
拡大するステーブルコイン市場と、日本での競争激化
日本は法整備が進んだ暗号資産市場として、海外プロジェクトにとっても魅力的な市場である。
これまでの厳格な規制体制は信頼性を高め、国内外のユーザーからの支持を集めてきた。
サークルが今回日本市場への本格進出を打ち出した背景には、こうした制度的な安心感と、今後の市場成長への期待がある。
USDCの導入は、既存の金融インフラとブロックチェーン技術の橋渡しとなる可能性が高い。
リアルタイム決済やクロスボーダー送金のコスト削減など、企業やユーザー双方にとっての利便性向上が見込まれている。
また、SBIをはじめとする国内の大手企業との連携により、サービス展開のスピードも加速するだろう。
一方で、Coincheckなどの競合他社も同様にステーブルコインの導入を模索しており、市場内での競争も激しさを増している。
今後は、どのプラットフォームが規制と技術のバランスを取りつつ、ユーザーにとって最適なサービスを提供できるかが鍵を握る。
サークルは今後も日本におけるパートナーシップを拡大し、USDCのさらなる浸透を図る方針を示している。
ステーブルコイン市場はグローバルに拡大しており、日本でもその流れに乗る形で成長が期待される局面に入ったといえそうだ。