NVIDIAが新しいAIの動画を公開　ロボットを操る「フィジカルAI」の拓く未来は

NVIDIAは2025年1月17日、YouTubeで新たなAI技術『NVIDIA Cosmos』（以下、Cosmos）の紹介動画を公開した。この技術はCES 2025で発表され、「フィジカルAI」として注目を集めている。Cosmosは、ロボットの自動操縦や自動運転技術を次世代レベルへと押し上げる可能性を秘めている。

NDIVIA Cosmosの概要

Cosmosは、フィジカルAIの開発を推進するためにNVIDIAが設計したプラットフォームである。このプラットフォームは、2000万時間のビデオデータを基に訓練された「ワールドファウンデーションモデル（世界基盤モデル）」を使用しており、物理的な相互作用を正確にモデル化することが可能だ。これにより、ロボットや自動運転車などの自律型機械が、実世界の物理的なルールや空間的関係を理解し、複雑な行動を実行できる。

NVIDIAは、Cosmosのモデルをオープンソースとして公開し、開発者が自由に使用、改良、商業利用できる環境を整えている。このオープンソースの取り組みは、コミュニティによる継続的な改良と新しいアイデアの実装を加速させる。これにより、フィジカルAI技術の進化が加速し、幅広い分野での応用が期待される。

動画で紹介されている内容

NVIDIAが2025年1月17日に公開した動画では、Cosmosの利用方法が詳しく解説されている。Cosmosは、テキストや画像の指示に基づき、ロボティクスに特化した膨大な動画データを生成する。このデータは現実世界を忠実にシミュレートし、天候、時間帯、材質、物理的な相互作用などを正確に再現できる。生成された動画は、強化学習の仮想環境として機能し、ロボットが正確に動作するための基盤となる。

さらに、Cosmosはリアルタイム映像から起こりうるさまざまな可能性をシミュレートする。このシミュレーション動画は「トークン」と呼ばれる小さな単位に分割され、迅速に処理可能な形式となる。シミュレートされた可能性の中から最適なものを選択することで、ロボットは状況に応じた最適な行動を取ることができる。

今後の展開

NVIDIA Cosmosは、物理AI分野における革新を加速させる潜在力を秘めている。オープンなモデルライセンスにより、多くの開発者や企業が容易にアクセスできるようになり、安全かつ効率的なAIシステムの構築が現実のものとなる。

自動運転やロボティクスでは、すでに仮想環境を活用した強化学習やシミュレーション技術が応用され、その可能性が大きく広がっている。また、物理法則の再現性を評価する新指標の開発や、モデルアーキテクチャの進化も着実に進行中だ。

「フィジカルAI」という新たな概念は、AIの未来を切り開く次なるステージを示している。Cosmosがもたらす可能性に今後も目が離せない。