2026年10月29日、イオン株式会社、イオングローバルSCM株式会社、株式会社Mujinは、埼玉県川口市において「イオン川口東XD」を本稼働させた。日本国内の店舗向け物流において、仕分けから積み付けまでの一連の工程を自動化する次世代自動化モデルセンターとなる。
フィジカルAIを活用し仕分けから積み付けまでの一連の工程を自動化
イオンは物流課題や脱炭素、インフレへの対応を見据え、安定的で持続可能な体制の構築に向けた物流構造改革を進めている。
その一環として、物流DXやロボット導入に実績を持つMujinをパートナーに迎え、川口東XDの本稼働に至った。
本センターでは、都市型の小型食品スーパー向けに求められる複雑な店舗別出荷に対応可能なシステムが導入されている。
具体的には、フィジカルAIを活用した混載パレタイズロボットとケース順立てシャトルラック、さらに倉庫運用管理システムを組み合わせている。これにより、センター作業の中で大きな割合を占める人手依存の領域を自動化することに成功した。
さらに、設備の自動化とハンディ端末を通じた作業者への指示は、倉庫運用管理システムによって一元的に管理される。
出荷オーダーに応じた事前の積み付けシミュレーションや、3Dビジョンによるリアルタイムの積載状態の確認が行われる。
もし位置ずれや荷崩れが起きた場合でも、その時の状態に応じてロボットの動作を制御し、作業を継続する仕組みとなっている。
また、センター内にはケース順立てシャトルラックや混載デパレタイズロボット、無人搬送車とデジタルピッキングの融合といった最先端設備モジュール群が組み込まれている。これらが高度に連携することで、センター全体の効率化が図られていると言える。
物流構造改革の推進と今後の展望 人手不足解消の期待と初期投資の課題
今回の次世代自動化モデルセンターの稼働は、イオンの物流構造改革を強力に推進する原動力になると考えられる。
従来は人手に依存せざるを得なかった身体的負担の大きい混載積み付けの自動化により、深刻な人手不足への有効な対策となるだけでなく、センター全体の生産性向上が見込まれる。
また、自動化設備と作業者を横断して一元管理するシステムは、現場の状況をリアルタイムに可視化する。これにより、データに基づくセンター運営が可能になり、さらなる効率化の余地が生まれると期待されている。
一方で、懸念材料やリスクとして無視できないのが、大規模なシステム導入に伴う多額の初期投資や運用コストの存在である。最先端のロボティクス技術を維持・管理するためのコスト回収や、現場の運用定着を図る上でのハードルは決して低くないとみられる。
今後は、ここで培われた最先端の自動化ノウハウが他の拠点へどのように波及していくかが注目される。安定的で持続可能な物流体制の構築を目指すイオンの挑戦は、今後の小売・流通業界全体における自動化のトレンドを大きく左右する可能性がある。