2026年10月19日、日本のあいおいニッセイ同和損害保険と子会社のOXFIDAは、経産省とNEDOが進める国産AI開発事業へCODASのパートナーとして参画すると発表した。データ秘匿性を保つAI学習の知見を提供する。
機密情報を保護する国産AI開発 あいおいニッセイ同和がプロジェクト参画
あいおいニッセイ同和損害保険とその子会社であるOXFIDAは、経済産業省およびNEDOが推進する「データの秘匿性を考慮した効率的なAI学習手法の開発」事業に、一般社団法人AIデータ主権共創機構(CODAS)のパートナーとして参画することを発表した。
これまでAIの進化は主にWeb上の公開データに依存してきたが、技術をさらに高度化させるためには企業内の業務データの活用が不可欠となる。しかし、業務データには個人情報や機密情報が含まれるケースが多く、データを安全に保護した状態でAIに学習させる新たな技術開発が喫緊の課題であった。
本事業では、データの安全性を担保しつつ、産業固有の知識を学習させた国産大規模言語モデル(LLM)の研究開発および実証が行われる。開発された成果は将来的にオープンソースベースのモデルとして公開し、企業間において機密性を保ったまま学習データを共有・連携できる環境の構築を目指す。
この中で両社は「実利用に基づくAI学習・推論秘匿化技術の研究・開発とその評価手法、およびそれらの実装評価」を担当する。具体的には、個人情報や機密情報を保護しながらAI学習に活用する技術や、秘匿化されたデータ環境下でも十分なモデル性能を確保・維持する手法、さらにモデル自体を秘匿化した状態で自律的に性能向上させる仕組みなどの研究・開発に取り組む。
※LLM(大規模言語モデル):大量のテキストデータから学習し、文脈に応じた自然な文章生成や要約、質問への回答などを行う人工知能技術。
安全性と実用性の両立が鍵 経済安全保障と企業データ活用の未来
今回のプロジェクト参画は、企業が抱える機密漏洩リスクやデータ主権の喪失といった懸念を払拭し、データを外部に出さずに高度な活用を可能にする「Privacy-First AI」基盤の確立に向けた重要な一歩になると考えられる。
最大のメリットは、これまで機密性の高さからAI活用に慎重だった金融・製造・医療などの産業分野において、自社内に眠る膨大な独自データを安全に活用できるようになる点にあるとされる。
自社専用モデルの構築や産業間のデータ連携が進むことで、業務効率化や新たな事業創出といったイノベーションの加速が期待できる。また、国産のオープンな共通基盤が構築されることは、日本のデジタル主権の確保や経済安全保障の観点からも極めて重要な意味を持つと言えそうだ。
一方で、懸念されるリスクやデメリットも存在する。データを高度に秘匿化した状態で学習を行わせる場合、通常データによる学習と比較して計算処理の負荷が増大したり、モデルの精度が低下したりする可能性が指摘されている。秘匿化による安全性の強化と、業務で耐えうる応答精度・処理速度とのバランスをどのように高次元で両立させるかが、実用化に向けた課題になりうると見られている。
今後は、実証評価を通じた評価ツールの開発やモデルの最適化が進められる見通しだ。安全・安心に使えるAIインフラが社会実装されれば、企業間連携が活性化し、日本の産業全体における持続的な成長を支える強力なエコシステムへと発展していく可能性がある。
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