2026年9月30日、カシオ計算機株式会社は、ICT学習アプリ「ClassPad.net」において、生徒の提出物をAIが解析して評価案を自動生成する「AIフィードバック機能」を2027年1月より提供開始すると発表した。国内の教育現場における教員の業務負担軽減を目指す取り組みである。
提出物をAIが自動解析し、評価やコメント案の素案を生成する
カシオ計算機が提供する「ClassPad.net」は、デジタルノートや辞書などICT教育に必要な機能を一つに統合した学習アプリである。今回、東京学芸大学発ベンチャーである株式会社Dmeltの協力を得て開発された「AIフィードバック機能」が、2027年1月より提供されることになった。
教育現場では、主体的・対話的で深い学びの実践や形成的評価(※)への対応が求められる一方、提出物の評価やコメント作成にかかる時間が教員の深刻な負担となっている。この機能では、生徒の提出物をAIが解析し、良かった点や改善点、評価案などを自動的に生成する仕組みだ。
教員はAIが作成した評価や添削の素案を確認・編集したうえで生徒へ返却するため、業務を大幅に効率化できる。また、生徒にとっても、より具体的でタイムリーなフィードバックを受けることで、自身の学習を振り返り自己調整につなげやすくなるメリットがある。本機能は年間契約での提供を予定しており、学校や自治体向けのトライアル版も用意されている。
※形成的評価:日々の学習活動の過程において、生徒の理解度を把握し、指導の改善や学習の調整に活かすための評価手法のこと。
教育の質向上と負担軽減の両立に向けたメリットと今後の展望
AIフィードバック機能の導入は、慢性化する教員の長時間労働を解消し、教育現場の働き方を大きく変革する可能性を秘めている。事務的な評価業務が効率化されることで、教員は対話や個別支援といった生徒一人ひとりに向き合う教育活動に多くの時間を割けるようになると考えられる。
一方で、留意すべきデメリットや課題も想定される。AIが生成する評価の精度や公平性には限界があるため、教員が内容を慎重に確認・編集するプロセスを省略することは難しい場合があると言える。教員のチェック体制が不十分である場合、生徒への適切な指導に支障をきたすリスクが懸念される。
今後は、こうした先端技術を教育現場にどう定着させ、活用していくかが一層重要になるとみられる。教育現場のDXを推進する先進的モデルとして、他校や自治体への波及効果や今後のサービス普及が大きな注目を集めていく可能性が高い。