2026年9月9日、米Appleは「Apple Watch Ultra 4」を発表した。新しいヘルスセンシングシステムとS11チップを搭載し、心拍数測定の精度やバッテリー性能を高めるほか、Siri AIや音声検知にも対応する。9月18日から販売を開始する。
Apple Watch Ultra 4、健康センシングとAIを強化
Apple Watch Ultra 4は、光学式と電気式の心拍センサーを組み合わせた新しいヘルスセンシングシステムを採用した。1,000人を超える参加者を対象とした調査では、主要なウェアラブルデバイスと比較して、新しい心拍数センサーが最も高い精度を示したとしている。
心拍数は一日を通して5秒ごとに測定され、心拍変動(HRV)(※)も従来より最大24倍の頻度で取得する。さらに、最近の活動量やトレーニング負荷、バイタル、睡眠スコアを分析し、0〜10で一日の状態を示す「準備度」も新たに搭載した。
S11チップは健康機能だけでなく、AI関連機能も支える。watchOS 27によってApple Intelligenceを利用した「Siri AI」に対応し、パーソナルコンテクストの理解や幅広い知識を手首から利用できるようになる。
また、内蔵マイクとS11チップを活用した音声検知にも対応する。サイレンやアラーム、ドアベル、赤ちゃんの泣き声などを検知して通知でき、処理はS11チップ内の「Secure Exclave」で行われ、生の音声データは録音・保存されない設計だ。
※心拍変動(HRV):心拍と心拍の間隔の変化を示す指標。ストレスや回復状態、心血管系の健康状態などを把握するために利用される。
AIと健康データの融合で広がる可能性と課題
Apple Watch Ultra 4の進化は、スマートウォッチを単なる運動記録端末から、日々の状態を分析して行動を支援するデバイスへ近づけるものだ。特に準備度は、健康データを単純に表示するのではなく、「今日は休むべきか」「トレーニングに取り組めるか」といった判断につなげる点が特徴である。
Siri AIとの組み合わせも重要になる。健康やフィットネスに関する情報と、パーソナルコンテクストを理解するAIが手首上で利用可能になれば、ユーザーが必要とする情報へアクセスするまでの操作を減らすことができる。音声検知についても、聴覚に障がいのあるユーザーが周囲の重要な音を把握する手段として活用が期待される。
一方、健康データや周囲の音を扱う機能が増えるほど、プライバシーやデータ処理への信頼性は重要になる。Appleは音声データを保存せず、ハードウェアで隔離された領域で処理する設計を示しており、AI機能の利便性とプライバシー保護を両立する方向性がうかがえる。
さらに、最大50時間の通常使用、低電力モードで最大84時間、屋外ワークアウトで最大45時間というバッテリー性能も、長時間の運動やアウトドア用途を後押しする。
AI、センシング、長時間駆動を一体化することで、Apple Watchは健康管理と日常の意思決定を支えるウェアラブルへ進化していく可能性がある。