2026年8月31日、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)は、カスタマーサポート業務におけるAIオペレータ導入を支援するアセスメントサービス「CTC-AINAVI」の提供を開始した。問い合わせ対応データを分析しAI活用に適した業務の特定や投資対効果の試算を行うことで、企業の導入判断を支援する。
問い合わせデータ分析でAI導入を可視化
CTCが提供を開始した「CTC-AINAVI」は企業が保有する問い合わせ対応データやVoC※を分析し、AIオペレータ導入の有効性を診断するサービスである。価格は100万円(税抜き)からで、金融、通信、小売、ITサービスなど、コンタクトセンターを通じた顧客対応が多い業種を主な対象とし、3年間で100件の受注を目指している。
近年のカスタマーサポートでは問い合わせチャネルの増加や対応内容の複雑化、人材不足などを背景に、品質維持と業務効率化を同時に実現することが課題となっている。一方でAI導入への関心は高まりつつあるものの、どの業務を自動化すべきか判断できず、投資対効果を見極められないことから、導入検討が進まない企業も少なくない。
CTC-AINAVIは問い合わせ件数や内容、対応時間などを分析し、AIオペレータと有人対応を適切に振り分けるための指針を提示する。自動化による効果が期待できる業務を優先順位付きで整理するほか、投資対効果の試算や段階的な導入計画の策定も支援する仕組みだ。さらに特定製品の導入を前提とせず、FAQ整備やナレッジ強化を含めた最適な施策を検討できる点も特徴となる。
※VoC(Voice of Customer):企業が収集する顧客の声や問い合わせ内容、要望、苦情などを指す情報。商品・サービス改善や顧客対応品質の向上、AIによる業務分析・自動化の基礎データとして活用される。
AI導入は「選定力」が競争力を左右する
企業にとってAI導入の成否は、最新技術を採用することではなく自社業務に適した適用範囲を見極めることにある。CTC-AINAVIのように導入前の業務分析から投資効果までを可視化するサービスは、AI活用に伴う判断の不確実性を低減する役割を担うと考えられる。
また特定ベンダーや製品に依存せずに現状を診断できることは、企業が中立的な視点でAI戦略を立案できる利点につながる。問い合わせ対応を全面的に自動化するのではなく、人による対応とAIを組み合わせる最適な運用モデルを設計しやすくなる可能性もある。
一方で診断結果の精度は、企業が保有する問い合わせデータの量や品質に左右される点には留意が必要である。十分なデータが蓄積されていない場合やナレッジ管理が不十分な場合は、期待する効果を得にくい場面も想定される。
CTCはこれまで培ってきたコンタクトセンター構築・運用の知見と生成AI技術を組み合わせ、分析から製品選定、構築、導入まで伴走支援を行う方針だ。AI導入を「システム導入」ではなく「業務改革」として進める動きは、今後さらに広がっていくと言える。