技術企画課などは、日本国内の警察活動で実施したウェアラブルカメラの試行結果を公表した。
職務執行の客観的確認や証拠、教育資料としての有用性が認められ、今後は実装に向けて予算確保や運用ルールの整備を進める。
警察活動を映像記録、証拠や教育資料にも活用
試行は地域警察活動と交通取締り活動を対象に行われた。
地域警察では警視庁、大阪、福岡が2025年9月から11月までの3か月間、交通取締りでは愛知、新潟、高知が同年9月から2026年3月までの6か月間、ウェアラブルカメラを運用した。
2026年8月に公表された主な活用例としては、薬物事件の被疑者が任意同行(※)の任意性を否定した際、同行を求めた状況を記録映像で事後確認したケースがある。
交通取締りでは、幹部が映像を定期的に視聴し、取締りが適正に行われているかを確認する用途にも使われた。
さらに、職務質問から薬物事件の検挙に至った映像は、職務質問の手法を学ぶ教養資料として活用された。
公務執行妨害事件では、警察官への加害状況が記録された映像が刑事事件の証拠として用いられており、現場映像が検証、教育、捜査の複数領域で利用された形だ。
モデル事業を実施した都府県警察からは、「職務執行状況の客観的な確認が可能になった」「映像は実践的な教養資料としての活用価値が高い」との意見が出た一方、装備のさらなる軽量化を求める声もあった。
街頭活動中には「警察官もカメラを付ける方がよい」、交通取締りを受けた人からは「映像が残るのはよい」との反応が寄せられたが、けんか対応時に撮影理由を問われたり、職務質問中に録音への拒否感を示されたりする場面も確認されたという。
※任意同行:警察官が捜査や確認のため、本人の同意を得て警察署などへの同行を求めること。強制処分ではなく、本人の意思に基づく点が重要となる。
透明性向上に期待、撮影ルールの設計が焦点
ウェアラブルカメラの実装には、警察官と市民のやり取りを客観的に残せるという大きな利点がある。
後から事実関係や手続きの適正性を確認しやすくなれば、警察活動の透明性向上や、現場対応をめぐる認識の食い違いを減らす効果が期待できる。
一方で、常時撮影に近い運用になれば、市民側が監視されていると感じたり、警察官との会話を控えたりする可能性もある。
特に職務質問やトラブル対応では、記録の存在が安心材料になる場合と、対話を難しくする場合の双方が想定されるため、撮影開始の基準や説明方法を明確にする必要があるだろう。
今後は、実装に向けた予算確保と運用ルールの整備が進められる予定だ。
映像の保存期間や閲覧権限、証拠・教育用途への転用範囲など、記録をどう管理するかも制度設計の重要な論点になると考えられる。
客観的記録という強みを生かしながら、市民との信頼関係を損なわない運用を構築できるかが普及の鍵を握る。
警察庁 「警察活動におけるウェアラブルカメラ活用の試行結果について」
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