2026年8月17日、大手広告代理店の博報堂(日本)が、自治体の政策検討を支援する生成AIソリューション「バーチャル市民カイギ™」の提供を開始した。住民の多様な視点や本音を捉え、政策への反映を目指す。
生成AIで住民像を再現 寒川町での先行導入事例とニュースの全容
地方自治体においては、人口構造や生活様式の変化に伴って行政課題が複雑化および多様化しており、政策検討の場で幅広い住民の声や潜在的なインサイトを捉える必要性が高まっている。しかし、従来のアンケートやリサーチでは参加できる層が限定的となり、対話の場に来られない人々の意見把握や本音・将来視点の抽出には困難が伴っていた。
今回発表された「バーチャル市民カイギ™」は、こうした行政課題を克服すべく開発されたツールである。自治体のオープンデータや匿名加工データと、博報堂が培ってきた生活者理解のナレッジを組み合わせ、生成AI上で多様な住民像を構築する仕組みとなっている。
AIとの対話を通して政策検討の論点を広げ、独自のフレームワークを用いたワークショップにより実効性のあるアイデア創出を促すのが大きな特徴だ。
すでに本ソリューションは、神奈川県高座郡寒川町の「公共施設複合化ワーキンググループおよび町民ワークショップ実施業務」に導入されている。公募型プロポーザルで選定された同社がプロジェクトを推進中であり、町民データと生活者理解技術を掛け合わせたAI共創ワークショップが実施される。
単に建物をつくることだけを目的とせず、将来にわたり多世代が利用する公共施設に真に必要な機能を探り、政策コンセプトを検討していく予定である。なお、本ソリューションに関する一部技術については、すでに特許出願が行われている。
※バーチャル市民カイギ™:オープンデータや匿名加工データを基に多様な生活者像をAIで構築し、政策検討における対話や論点抽出を支援するシステム。一部技術は特許出願中。
政策立案の包摂性を高めるメリットと運用面の課題、広がる応用展開
政策立案の包摂性を高めるメリットと運用面の課題、広がる応用展開 本文: 生成AIを活用した住民対話の試みは、行政における政策立案のあり方を大きく変える可能性を秘めている。
アンケートなどの静的な調査にとどまらず、動的なAIとの対話を通じて潜在的ニーズを掘り起こせる点は、複雑な行政課題に悩む自治体にとって大きなメリットとなる。 直接意見を届ける機会が少なかった層の「声」を擬似的に取り込む手法は、政策の包摂性を高める上で非常に有効と言える。
一方で、本取り組みには運用上の懸念やデメリットも存在する。実在の個人を再現するものではないとされるものの、元となるデータの匿名加工処理やプライバシーポリシーの徹底が不可欠と考えられる。
さらに、AIが生成する回答の偏りや精度の限界を理解した上で活用しなければ、現実と剥離した政策が立案されるリスクも否定できない。 今後の展望としては、防災や福祉、観光といった多様な政策領域への応用が期待される。
加えて、移住検討者向けの情報提供や行政サービスの案内支援など、活用場面は大きく広がる可能性がある。AIの提示する示唆を適切に解釈し、実際の施策へ着地させる自治体側の判断力が重要になると考えられる。
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