2026年8月4日、サイバーセキュリティ企業であるS&J株式会社が、監視サービス「My SOC 365」向けに「自動対処機能」の提供開始を発表した。AIが脅威検知から初動対処までを数十秒で自律実行する。
AIによる調査と判断で初動対処を自律実行し過剰対処も抑制
S&J株式会社(以下「S&J」)は、Microsoft 365を活用した監視サービス「My SOC 365」において、AIが攻撃の調査から初動対処までを自律的に行う「自動対処機能」の提供を2026年8月3日に開始した。
本機能は、アラート検知時にAIが熟練アナリストの調査手順に従ってログを再検索・分析し、攻撃の確からしさと推奨度を判断する仕組みとなる。ノイズチューニングを行うことなく高精度な見極めが可能であり、誤対処や見逃しを抑制する効果が期待される。
判定後は、S&J独自の対処ルールに基づき、アカウントの無効化や端末の隔離といった初動対処をAIが数分ではなく数十秒で自動実行する。
これまで人手による分析や顧客の判断待ちで数時間を要していた対応時間を劇的に短縮し、被害の拡大防止を実現する構想だ。
また、自動対処により停止されたアカウントや隔離端末は、安全確認の後に顧客側でポータルからワンクリックで復旧できる。業務復旧の不安を解消する安全装置や緊急停止機能も備えており、導入時の運用リスクに配慮した設計がなされている。
夜間休日のスキマを防ぎ深刻なセキュリティ人材不足を解消へ
近年、サイバー攻撃の被害規模は発生から初期封じ込めまでのスピードに強く依存している。しかし、多くの企業では影響分析に時間がかかる上、復旧手順の未整備から即座のアカウント停止に踏み切れないケースが多い。
特に夜間や休日など、企業の担当者が不在となる時間帯は初動が遅れやすく、攻撃者に侵入拡大の猶予を与える構造的な課題が存在していた。
AIが24時間365日体制で判断と対処までを担う「自律型SOC(※)」への移行は、世界的なトレンドとなりつつある。
今回の自動対処機能の追加は、深刻化するセキュリティ人材不足という社会課題への大きな一手と言える。専任担当者を配置できない中堅・中小企業にとっても、人手を介さず即座に被害を最小限へ抑え込めるメリットは極めて大きい。
一方で、業務実態に合わせた除外設定や制御ルールを適切に構築しなければ、一時的な業務停滞を招く懸念も残る。
運用面での柔軟性と安全性のバランスをいかに保ちながら「インシデントによる実害ゼロ」を達成できるかが、今後の普及における鍵となるだろう。
※自律型SOC:AIや自動化技術を活用し、ログの監視・分析にとどまらず、インシデントへの対処決定や実行までを人間の手を介さずにシステム主導で自動完結させるセキュリティ運用拠点(SOC)の形態。