日本の京都橘大学と株式会社KiQは、人とロボットが共生する未来社会を目指す共同研究プロジェクトを開始したと発表した。
第一弾として、日本文化の「阿吽」と「狛犬」を再解釈した四足ロボット「AUN dog」を公開し、身体性や空間体験を軸とした新たなロボットのあり方を探究する。
共同研究で「AUN dog」を初公開
京都橘大学とKiQは2026年7月17日、人とロボットが共生する未来社会に向け、身体性、インタラクション、空間体験を横断的に探究する共同研究プロジェクトの始動を発表した。
第一弾として、二体の四足ロボットによる研究プロトタイプ「AUN dog」を共同開発した。
AUN dogは、日本文化に受け継がれてきた「阿吽」と「狛犬」の思想を、現代のロボティクスと体験設計によって再解釈したものだ。
二体のロボットは、互いの存在や周囲の環境、人との距離や間合いを感じ取りながら、ひとつの呼吸を共有するように振る舞う。
研究では、KiQがコンセプト設計やクリエイティブディレクション、空間体験設計を担い、京都橘大学がロボティクス領域の研究知見と技術的検討を担当する。
音声対話AIやロボット社会実装を専門とする倉田宜典教授、ヒューマンロボットインタラクションを研究する兼古哲也助教が参画し、ICOMAもコンセプト共創に加わった。
研究成果は2026年7月18日から26日まで東京都渋谷区の「tHE GALLERY OMOTESANDO」で開催される菊地あかね氏の個展「いのちの所作」で初公開される。
今後は教育、ミュージアム、公共空間、ホスピタリティ、医療・福祉など幅広い分野への社会実装を視野に展開していく方針である。
文化とロボット融合の可能性と課題
AUN dogのようにロボットの価値を機能だけでなく、存在の仕方や周囲との関係性から捉える試みは、人と機械の接点を広げる契機になりうる。
文化的な文脈を設計に取り入れることで、ロボットに馴染みのない人にも、その振る舞いを直感的に理解しやすくなるだろう。
また、教育やミュージアム、公共施設などでは、来場者との新たな接点を生み出すロボットとして活用できる可能性がある。
日本文化を題材とした設計は、国内外へ新たな魅力を発信する契機になるかもしれない。
一方で、こうした体験型ロボットは技術性能だけでなく、空間設計や演出、運用コストまで含めて評価されるため、社会実装には多様な分野との連携が欠かせない。
実証を重ねながら、導入先ごとの有効性や運用上の課題を見極めることが重要になるだろう。
今後、AUN dogの研究が実証や社会実装へ進めば、日本文化に根差した身体表現がロボット設計の新たな視点として評価される可能性がある。
AIやロボティクスの性能競争が続くなか、技術そのものではなく、人と機械の関係をどうデザインするかという問いを提示する点に本取り組みの独自性があると言える。
関連記事:
AI人材育成と実証環境で新産業創出へ 今治市が「ロボット未来共創都市」宣言

NTTなど、フィジカルAIと四足歩行ロボットで工場点検を自動化 岡山で国内初実証
