国内Web3企業のPacific Metaは、オンチェーン上でファンドを組成し、運用状況や取引履歴、報酬計算を公開できる「Transparent Fund」のプロトタイプを開発したと発表した。今後は、この技術基盤を活用した協業に向けた検討を進める。
運用履歴を検証できるファンド基盤を開発
2026年7月15日、Pacific Metaは、オンチェーン上でファンドを組成し、運用状況や取引履歴、報酬計算を透明化するプラットフォーム「Transparent Fund」のプロトタイプを開発したと発表した。
今後は、この技術基盤を活用し、ファンドや金融機関などとの協業に向けた共同検討を開始する。
Transparent Fundは、運用者がブロックチェーン上にファンドを立ち上げ、投資家が運用状況を確認しながら資産を預け入れる仕組みを検証するプラットフォームである。
ポジションや約定履歴、資金の流れ、基準価額をオンチェーンに記録し、第三者が取引内容を検証できる設計だ。
報酬の計算と分配にはスマートコントラクト(※)を活用する。
成功報酬型や管理報酬型、運用益が一定水準を超えた場合に報酬が発生する方式などを設定でき、作成後の変更は認めない。
投資対象についても暗号資産やトークン化株式、トークン化国債、不動産STなどから指定し、対象外資産への発注を自動で拒否する。
利用画面では、運用戦略や投資対象を基準にファンドを絞り込み、運用資産残高、収益率、シャープレシオ、報酬形態を比較できる。
ファンド詳細画面では、基準価額の推移や取引履歴、預入・引出履歴を確認でき、各取引に紐づくトランザクション情報も参照可能だ。
このほか、ファンドマネージャーによる最低5%の持分保有や、本人確認を終えた投資家だけが参加できる制限も実装した。
なお、このプロトタイプは検証のための実装という立ち位置であり、現段階では実際の資金運用はできないことに留意が必要だ。
※スマートコントラクト:ブロックチェーン上に設定した条件に従い、取引や報酬計算、資産移転などを自動実行するプログラム。管理者を介さず処理できる一方、設計やコードの安全性が重要になる。
透明性向上に期待も法規制と安全性が課題
Transparent Fundの利点は、ファンド運用で見えにくくなりやすい資産の移動や取引履歴を、投資家自身が検証できる点だと言える。
報酬計算や投資対象の制限までコードで管理できれば、運用者の裁量によるルール変更を抑え、投資家との情報格差を縮小できる可能性がある。
特に、ファンドの組成や管理に必要な機能が共通基盤として整備されれば、従来は参入が難しかった小規模な運用者やAIエージェントにも、運用戦略を提供する機会が広がると考えられる。
ファンドや金融機関との協業が進めば、トークン化された証券や実物資産を扱う金融サービスへの応用も視野に入るだろう。
一方、取引履歴の透明化は投資判断の材料を増やすものの、それだけで運用戦略の妥当性や将来の収益性を十分に判断できるとは限らない。
スマートコントラクトの不具合や秘密鍵の管理、外部サービスとの接続部分に問題が生じれば、資産保全へ影響するおそれもある。
今後は、金融商品取引法を含む関連法令への適合を進めながら、透明性というオンチェーンの利点を既存金融の安全性と結び付けられるかが焦点となりそうだ。
ファンドや金融機関との共同検討を通じて実務上の課題を解消できるかが、Transparent Fundの事業化を左右すると考えられる。
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