Web3企業のHashPortは、企業・店舗向けステーブルコイン決済サービス「HashPort Wallet for Biz」のアップデートを発表した。日本初となるステーブルコインのプライバシー決済機能を含む5つの新機能を順次提供し、7月から首都圏の医療機関で試験導入を開始する。
5つの新機能を実装 医療機関で試験導入も開始
HashPortは、「HashPort Wallet for Biz」において、マルチウォレット対応、動的QR機能、売上管理機能、対応チェーン拡大、プライバシー決済機能の5つの新機能を順次実装すると、2026年7月13日に発表した。
サービス開始後に判明した課題を踏まえたアップデートであるという。
マルチウォレット対応では、従来のHashPort Walletに加え、MetaMaskなどの外部ウォレットからの決済が可能となる。
動的QR機能では会計ごとに金額や対応チェーンを反映したQRコードを表示でき、異なるウォレットでもスムーズな決済を実現する。
さらに、売上確認や取引履歴の管理、ワンタップ返金を行える売上管理機能も追加される。
対応ネットワークも拡充され、既存のPolygon、Base、Arbitrum、BNB Smart Chainに加え、8月下旬にはEthereumとAvalancheにも対応予定だ。
また、zERC20を活用したプライバシー決済機能により、送金者と受取者の関連性を秘匿できる環境を提供する。zERC20には制裁対象アドレスの遮断や選択的情報開示などのコンプライアンス機能も備わる。
これらの機能追加を受け、7月から東京都港区の「歯科369CLINIC」と千葉県船橋市の「津田沼前原コウノ歯科・矯正歯科」で試験導入が開始されることも合わせて発表された。
普及拡大への追い風となる一方、制度整備が普及の鍵に
今回のアップデートは、ステーブルコイン決済の導入・運用の双方の障壁を下げる取り組みとして評価できる。外部ウォレットへの対応や複数チェーンへの対応拡大により、利用者は既存のウォレット資産をそのまま活用しやすくなり、加盟店側も幅広い顧客を受け入れられるようになるだろう。
加えて、返金や売上管理の効率化は、実店舗での運用負担軽減にも寄与すると考えられる。
一方で、プライバシー技術の活用には規制との両立が欠かせない。
秘匿性の高い送金は利用者保護に役立つ反面、不正利用防止やマネーロンダリング対策とのバランスを継続的に確保する必要があるはずだ。
HashPortも利用状況や規制動向を踏まえながら本格実装を検討するとしており、慎重な運用姿勢を示している。
医療分野での試験導入が成功すれば、高額診療やインバウンド需要だけでなく、小売や宿泊、観光など他業種への展開も期待される。
日本ではステーブルコイン決済の活用事例はまだ限定的であるため、今回の取り組みは実社会への普及を占う先行事例として注目を集めそうだ。
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