国内暗号資産交換業大手のSBI VCトレードは、日本初となる信託型円建てステーブルコインの貸付サービス「JPYSCレンディング」を開始すると発表した。当初募集は年率3%という高い利回りで提供される。
国内初、日本円連動ステーブルコインの貸出サービスが始動
2026年7月13日に発表され、同月16日より申込みが開始される「JPYSCレンディング」は、信託型(※1)円建てステーブルコイン(※2)である「ジェイピーワイエスシー(JPYSC)」を顧客から同社が借り入れ、その対価として利用料を支払う消費貸借取引サービスである。
実際のレンディングは7月23日から開始され、当初募集では12週間満期で年率3%という、円定期預金を大きく上回る高い金利が提示されている。
なお、通常時でも年率1〜3%程度での募集を予定している。
SBI VCトレードは、国内で唯一、一般顧客向けにステーブルコインの取引サービスを提供できる「電子決済手段等取引業者」のライセンスを持つ企業だ。
同社は2026年3月に米ドル建ての「USDCレンディング」を開始しており、決済手段にとどまらない資産形成の選択肢を提示してきた実績がある。
※1 信託型:信託法に基づき裏付け資産を信託財産として保全することで、発行体の破綻リスクから顧客資産を守る仕組み。
※2 ステーブルコイン:米ドルや日本円などの法定通貨と価値が連動するように設計された暗号資産の一種。
少額運用のメリットと資産管理上のリスク
本サービスにおけるメリットは、円建てで価格変動リスクを抑えながら利回りを得られる点に加え、少額運用であれば確定申告の手間を抑えられる点だろう。
銀行預金の利息は一律で源泉分離課税されるのに対し、レンディングの収益は雑所得(※3)として総合課税が適用される。年間の雑所得が20万円以下であれば原則として確定申告が不要となるため、為替変動を気にせず手軽に資産運用を始めたい初心者にとっては魅力的な制度設計と言える。
一方で、相応のリスクへの理解は欠かせないだろう。
本サービスは銀行預金ではないため、国の預金保険制度(※4)の対象外となる。 さらに、貸し出されたJPYSCは分別管理の対象外となるため、万が一同社が破綻した場合には資産が返還されない可能性を排除できない。また、原則として中途解約ができないため、満期まで資金がロックされる流動性リスクも存在する。
それでも、円建てステーブルコインのレンディングは、国内におけるオンチェーン(※5)金融を身近にする重要なマイルストーンとなり得る。
この新しい金融インフラが日本の投資家にどう受け入れられるか、今後の動向にも注目したい。
※3 雑所得:他のどの所得区分にも属さない所得。暗号資産の売却益やレンディングによる賃借料などが該当する。
※4 預金保険制度:金融機関の破綻時に、預金者の元本1000万円までとその利息を保護する国の制度。
※5 オンチェーン:取引の合意形成から実行、記録までのすべてをブロックチェーン上で行う透明性の高い金融プロセス。
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