2026年7月8日、大東建託株式会社はAIデータ分析プラットフォーム「dotData」を活用した「予防型内部監査ツール」の本格運用を同月より開始すると発表した。客観的なデータ分析に基づき、従業員の心理的変化や業務負荷のサインを未然に検知する日本国内初の先進的なガバナンス体制の構築を目指す。
経験則に頼らないデータ分析で従業員の負担や意識変化を可視化
大東建託は、dotData社のAI技術を内部監査の高度化に応用し、組織の健全性を維持するための新たな仕組みを稼働させた。
従来のランダムな抽出調査や事後対応型の監査体制では、職場環境に潜む小さな予兆を捉えきれないという課題が背景にある。そこで、dotDataのコア技術である「特徴量自動設計技術(※)」を活用し、客観的なデータから業務上のリスクや従業員のモチベーション低下などの兆候を早期に検知する。
今回のシステム導入により、個人の勘や経験といった主観に依存しないリスクマネジメントが可能となる。
具体的には、業務負荷の偏りや組織内の環境変化の影響がみられる拠点・部署、さらには従業員個人をAIが抽出する仕組みだ。これまで可視化が難しかった心理的な変化をデータで捉え、問題が発生する前の予防的なアプローチを実現する。
この取り組みは企業の経営統制機能である「内部監査」のあり方を大きく変える。
単なる不正摘発やルール遵守の確認にとどまらず、働きやすい環境づくりを自発的に提案する「攻めのガバナンス」として機能することが期待される。大東建託はこれにより、一人ひとりの環境変化に寄り添った多角的なサポート体制の確立を進めていく。
※特徴量自動設計技術:データ分析において予測モデルの精度を左右する「特徴量(分析の切り口となる変数)」を、AIが膨大なデータから自動的に生成・選別する技術。高度な専門知識がなくても迅速かつ高精度なデータ分析が可能となる。
予防型アプローチがもたらす安心感と、データ蓄積による統制機能の進化
7月からの本格運用開始に伴い、同社は抽出されたデータをもとにしたきめ細やかな個別サポート体制の整備に着手する。
兆候が検知された部署や従業員に対して、迅速なヒアリングや適切な労務管理の推進といった先回りのケアを行う予定だ。これにより、業務上の負担軽減だけでなく、モチベーションの維持や離職防止といった組織運営上のプラスの効果が生まれる。
将来的には、この運用プロセスで得られた知見やノウハウをグループ全体へ横展開していく方針である。
関連部門との緊密な連携を通じてグループ全体の労務リスクを軽減し、健全な統制機能の最適化を推進する計画だ。データに基づいた予防型アプローチは、すべての従業員が安心して長期にわたって活躍できる職場環境の土台となる可能性を秘めている。
一方で、AIの検知プロセスにおけるプライバシー配慮や、現場への丁寧な説明プロセスの確立といった運用上の課題も想定される。
テクノロジーを効果的に活用しながら、従業員との信頼関係をいかに維持し高めていくかが、このツールの真の成功とガバナンス強化の鍵を握る。