高市早苗首相は第28回規制改革推進会議で、デジタル行財政改革会議を「AI・デジタル改革推進会議」に改組する方針を表明した。
AIを前提とした規制・制度の見直しを府省庁横断で進め、AIの社会実装と民間投資の拡大を後押しする考えを示した。
AI前提の規制改革へ新会議を設置
高市首相は2026年6月29日、総理大臣官邸で開かれた第28回規制改革推進会議に出席し、規制改革推進に関する答申を踏まえた今後の方針を示した。
答申で提言された施策を「日本成長戦略」に積極的に取り込み、官民投資ロードマップの下で民間投資を最大限引き出す考えである。
具体策としては、フィジカルAIを活用した歩行型ロボットの社会実装、自動運転の推進、次世代AIデータセンターの国内立地加速、医療データの利活用促進、法人登記制度の見直しなどを挙げた。
歩行型ロボットについては、道路交通法や道路運送車両法の運用を明確化し、歩道での実証実験を進めやすくすることで、事業者の予見可能性を高める方針である。
さらに、AI技術の進展に対応するため、デジタル行財政改革会議を「AI・デジタル改革推進会議」に改組することを表明した。
同会議を司令塔として、AIを前提とした規制や制度、運用ルールを府省庁横断で見直すほか、内閣官房に「AI・デジタル改革推進チーム」を設置し、調査・実証の迅速化やサンドボックス制度(※)の積極活用、制度改正のスピードアップを図る考えを示している。
※サンドボックス制度:新しい技術やサービスを一定条件下で実証できるよう、既存規制の適用を一時的に柔軟化する制度。
AI時代へ制度改革が競争力を左右
今回の方針は、AI開発そのものだけでなく、社会実装を阻む制度面の課題を解消しようとする点が特徴的だ。
技術革新の速度に制度改正が追いつかなければ、研究成果が実用化されず、企業の投資判断にも影響を及ぼす可能性がある。
その意味で、規制改革とAI政策を一体で進める姿勢は、日本の競争力向上に向けた重要な転換点になり得る。
特に、歩行型ロボットや自動運転、AIデータセンターなどの分野では、規制の明確化が社会実装や投資を後押しする契機となるかもしれない。
制度運用の見通しが明確になれば、国内企業だけでなく海外企業による投資判断にも一定の好影響を与えることが期待される。
一方で、AIを前提とした制度設計には慎重な検討も欠かせない。
安全性や個人情報保護、公平性などを十分に確保しながら改革を進めなければ、社会的な信頼を損なうリスクも考えられる。
府省庁横断で調整を担う新たな推進体制が、スピードと慎重さをどこまで両立できるかが、今後のAI政策全体の成否を左右する重要なポイントになるだろう。
関連記事:
高市政権、「AI・空飛ぶクルマ・ロケット」を地方重点産業に指定 地域経済は“国家戦略型”へ
