国内暗号資産取引所のコインチェックは、オンチェーン分析サービスを提供するキリフダと協働し、事業法人・機関投資家向けの市場分析レポート「Coincheck Prime Onchain Report」の定期発信を開始した。
オンチェーンデータを活用した市場分析情報の提供を強化する取り組みとなる。
コインチェックとキリフダが分析レポートを定期発信
コインチェックとキリフダは、事業法人・機関投資家向けサービス「Coincheck Prime」の顧客を対象に、オンチェーン分析レポート「Coincheck Prime Onchain Report」の提供を開始したと、2026年6月24日に発表した。
暗号資産市場やオンチェーン経済の構造変化を、オンチェーンデータ(※1)に基づいて分析する。
両社はこれまで、オンチェーンデータの定常モニタリングや分析ダッシュボードの共同設計・運用を進めてきた。社内での情報共有や経営報告にそのまま活用できる形式で、市場変化に追随した意思決定基盤として機能させているという。
本取り組みの背景には、ブロックチェーンの普及による金融市場の変化がある。
従来の金融業界ではデータの保有自体が競争優位につながっていたが、ブロックチェーン上では取引履歴や資金移動が公開されるため、競争の焦点は「データを保有していること」から「データを解読し意思決定に結びつけるまでの速度」へ移りつつあるという。
レポートでは、国内外の資金フローやステーブルコインの動向、RWA(※2)市場の形成、注目プロジェクトの利用状況、マクロトレンドなど、オンチェーン金融の発展に伴い重要性を増すテーマを取り上げる。
なお、すでに予測市場「Polymarket」、分散型取引プラットフォーム「Hyperliquid」、「Coinbaseのビットコイン担保ローン」を題材としたレポートが公開されている。
※1 オンチェーンデータ:ブロックチェーン上に記録された取引履歴や送金、保有残高などの公開データ。
※2 RWA:Real World Asset。不動産や債券など現実資産をブロックチェーン上でトークン化した資産。
オンチェーン分析が新たな競争力になる可能性
今回の取り組みは、国内暗号資産業界におけるデータ活用の高度化を象徴する動きといえる。市場参加者が資金移動や投資行動を従来より把握しやすくなることにより、投資判断や事業戦略の精度向上につながる可能性がある。
特にステーブルコインやRWA市場は世界的に拡大が続いており、オンチェーン上で蓄積されるデータ量も増加している。分析結果を迅速に意思決定へ反映できる企業は、新規事業の企画や市場機会の発見で優位に立つことが期待される。
一方で、公開データが増えるほど競争優位が得やすくなるわけではない。
膨大なデータを正確に解釈するためには、専門人材や分析基盤への投資が必要であると考えられるため、活用能力の差が企業間格差として現れる可能性もある。
今後、金融のオンチェーン化が進展すれば、オンチェーン分析はAMLやコンプライアンス対応だけでなく、経営企画や商品開発を支える基盤技術として定着していくだろう。
今回の事例は、日本企業におけるオンチェーンデータ活用の具体事例として、業界全体の取り組みを加速させる契機になるかもしれない。
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