2026年6月18日、米アドビは、AI検索環境における企業ブランドの可視性向上を支援する新ソリューション「Adobe Brand Visibility」を発表した。ChatGPTやGoogle AIモードなどの生成AI上で自社がどのように認識・推奨されているかを可視化し、改善まで自動化する仕組みである。AI検索が急拡大する中、企業のマーケティング戦略に新たな変化をもたらしそうだ。
AI検索での「見つかりやすさ」を可視化
Adobe Brand Visibilityは、アドビが提供する生成エンジン最適化(GEO)(※)向けの新ソリューションである。SemrushのAI可視性データと、アドビのコンテンツ最適化機能を統合した初の包括的なサービスとして提供される。
近年、消費者は企業の公式サイトを訪問する前に、ChatGPTやPerplexity AIなどの生成AIへ相談し、商品やサービスを比較検討するケースが増加している。アドビによれば、2024年10月から2026年5月にかけて米国小売サイトへのAI経由トラフィックは1,324%増加し、旅行業界では2,215%増を記録した。
この数字は企業にとってAI上でどのように言及されるかが、顧客獲得を左右する要素になりつつあることを示している。
同ソリューションは、約3億件の実利用ベースのAI検索プロンプトを収録した世界最大規模のデータベースを活用する。企業は、自社ブランドがどの質問で優位に立ち、どの領域で競合に遅れているかを把握できる。
さらに、ChatGPT、Google AIモード、Microsoft Copilotなど複数のAIプラットフォームにおける言及頻度やシェアオブボイス(SOV)を比較し、改善すべきコンテンツを特定できる仕組みとなっている。
加えて、AIエージェントが改善提案を自動生成し、承認後は短時間でコンテンツ更新を実行する。施策の効果測定まで単一ワークフローで完結できる点も特徴と言える。
※生成エンジン最適化(GEO):ChatGPTなどの生成AIが回答を作成する際、自社ブランドやコンテンツが引用・推奨されやすくなるよう最適化する手法。従来のSEOのAI時代版と位置付けられる。
SEOからGEOへ 企業競争の主戦場が変わる
今回の発表は、検索エンジン中心だったデジタルマーケティングの競争軸が、AI検索へ移行し始めていることを象徴している動きと捉えられる。これまで企業はSEO対策などでGoogle検索結果の上位表示を重視してきたが、今後は生成AIの回答に含まれるかどうかが重要な評価指標になる可能性がある。
Adobe Brand Visibilityは、Semrushが保有する285億件のキーワードと43兆件のバックリンクデータを活用し、従来のSEO資産をAI検索対策にも接続する。これにより、検索とAIの両方でブランド露出を高められる点は大きな利点となるだろう。
一方で、企業間の競争激化も予想される。AIが参照しやすいコンテンツ制作や情報整備が求められるため、十分なリソースを持つ大企業が有利になる可能性がある。また、AIプラットフォーム側のアルゴリズム変更によって可視性が左右されるリスクも残る。
それでも、AI検索市場の成長速度を踏まえれば、GEOは今後数年で企業の標準施策になる可能性が高い。人間だけでなくAIエージェントにも選ばれるブランドづくりが求められる時代に入りつつあり、今回のアドビの取り組みは、その競争の本格化を示す象徴的な動きと考えられる。