フランスで開催されたG7エビアン・サミットのワーキング・ランチ「AIの安全で迅速かつ効率的な導入の確保」に高市早苗首相が出席した。
高市首相は「信頼できるAI」の実現に向けた国際協調の重要性を訴え、AI分野における国際ルール形成と産業活用の推進方針を示した。
高市首相、G7で広島AIプロセスとDFFTの重要性を強調
高市首相は、2026年6月17日にフランスで開催されたG7エビアン・サミットのAI関連会合において、「AI・デジタル技術が日本の17の成長戦略の一つであり、世界の経済成長の要である旨述べた上で、リスクに適切に対応し、『信頼性』のある枠組みを構築していく」との認識を示した。
会合では、日本がこれまで推進してきた「広島AIプロセス(※1)」や、「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT※2)」の考え方についても説明した。
日本はこれらの枠組みを通じて、安全・安心で信頼できるAIエコシステムの構築に向けた国際的な議論を主導してきたとしている。
また、日本は同志国やグローバルサウス諸国との協力を進め、それぞれの地域事情に応じたAIエコシステムの共創を目指していると述べた。
加えて、フロンティアAIの発展による経済的機会と深刻なリスクの双方に言及し、金融、通信、電力などの基幹インフラにおけるサイバーセキュリティ確保の重要性を訴えた。
さらに、日本の製造業が培ってきた現場知識や経験、「すり合わせ」の技術を高品質なデータとして活用し、バーティカルAIやフィジカルAIへの官民投資を強力に推進する方針を表明した。
将来的なAIサミットの日本開催に向け、各国政府やテック企業との連携を深めていく考えも示している。
なお、会合にはOpenAI、Google DeepMind、Anthropic、Meta、Mistral AI、Sakana AIなどAI企業のCEOらも参加し、AIの安全な普及と活用について議論が行われた。
※1 広島AIプロセス:2023年のG7広島サミットを契機に開始された国際的なAIガバナンスの枠組み。高度AIの安全性や透明性確保に向けた共通指針の策定を目指している。
※2 DFFT(Data Free Flow with Trust):信頼を確保しながら国境を越えたデータ流通を促進するという日本提唱の国際的なデータ政策構想。
「信頼できるAI」は日本の強みとなるか
今回の発信は、日本がAI開発競争そのものではなく、「信頼できるAI」の実現を軸に国際的な存在感を高めようとしているものと捉えられる。
安全性や透明性に関するルール形成で主導権を握ることができれば、各国政府や企業との連携を進めやすくなる可能性がある。
また、日本が強みを持つ製造業やインフラ分野では、現場データを活用したバーティカルAIやフィジカルAIの需要拡大が期待される。
生成AI中心の競争とは異なる領域で競争優位を築ければ、産業全体の生産性向上にもつながるだろう。
一方で、ルール形成だけで国際競争を勝ち抜くことは難しいだろう。
米中の巨大テック企業は大規模な投資を続けているため、日本が技術開発、人材育成、計算資源の整備を十分に進められなければ、国際的な影響力が限定的になるリスクもある。
今後はAIサミットの日本開催や国際連携の進展を通じて、日本が提唱する「信頼できるAI」が国際標準や産業成果として具体化できるかが焦点となりそうだ。
外務省 G7エビアン・サミット ワーキング・ランチ「AIの安全で迅速かつ効率的な導入の確保」
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