国内IT大手の富士通が「Fujitsu Technology and Service Vision 2026」を策定し、変化が常態化する時代における企業の成長戦略を提示した。
AIを中核に据えた継続的な変革の指針を示したもので、人とAIの協働や先進技術の融合を通じた新たな企業モデルを提案している。
富士通、AI時代の企業変革モデルを提示
2026年6月18日に富士通が発行した「Fujitsu Technology and Service Vision 2026」は、AI時代において企業が継続的な変革を実現するための指針を示すものだ。
同社は変化が常態化する経営環境の中で、人とAIの協働や先進技術の融合を通じて企業変革を推進する考え方として「Dynamic transformation」を中核に位置付けている。
背景には、地政学的緊張の高まりやサプライチェーン再構築、資源・エネルギー制約への対応がある。さらにAIの急速な進化によって、ビジネスモデルや働き方、経営そのものが大きな変化を迎えており、従来の常識が通用しにくい状況になっている。
「Dynamic transformation」とは、仮説を立てて検証し、結果から学ぶサイクルを高速に回しながら、戦略や業務プロセスを継続的に更新する経営変革を指す。
富士通はAIを中心に複数の技術を組み合わせ、一体として機能させることで変化に適応し続ける企業への進化が可能になるとしている。
また、変革を支える4つのダイナミクスとして、人とAIの協働による「Dynamic intelligence」、未知の領域探索を担う「Dynamic exploration」、フィジカルAI(※)を活用して現場の運用を動的に再構成する「Dynamic orchestration」、セキュリティとトラスト技術によってエコシステムを自律的に再編する「Dynamic ecosystems」を提示した。
さらに同社は、AIを経営の中核に据える戦略、人材、テクノロジー基盤、セキュリティが変革推進の鍵になると説明している。2026年2月に北米、欧州、APACの10カ国1,000人のCxOを対象に実施した調査から、成果を上げる企業に共通する特徴として示された。
※フィジカルAI:ロボットや設備など現実空間の機器と連携し、学習結果を現場の運用へ反映するAI技術。
継続的な変革力が競争優位を左右する可能性
AIを経営の中心に据えながら継続的な改善を進める考え方は、変化の激しい市場環境への対応力向上につながる可能性がある。実験と学習を繰り返す仕組みが定着すれば、新しい事業やサービスの創出を後押しし、意思決定の柔軟性を高める効果にも期待できる。
さらに、人とAIの協働が進めば、知識創出や業務効率化の加速といった恩恵も見込まれる。複数の技術を連携させることで、従来は個別に運用されていた業務やシステムを横断的に見直しやすくなり、変化への対応力が向上する余地も広がるだろう。
一方で、AIを前提とした経営には人材育成や組織文化の変革が欠かせない。
技術導入だけでは十分な成果につながらない可能性もあり、現場との連携やセキュリティ対策の強化に加え、既存業務との整合性を保ちながら段階的に変革を進めていく必要があると考えられる。
また、AI活用の成熟度によって企業間の競争力に差が生じる可能性もある。
AIを単なる業務効率化の手段としてではなく、経営基盤の一部として活用できるかどうかが、今後の成長や新たな価値創出を左右する要素の一つになっていくかもしれない。
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