日本のゲーム開発会社である株式会社enishは、保有するビットコインの全売却を実施したと発表した。売却対象は8.063BTCで、売却損を計上する一方、同社が推進する「アクティブ・トレジャリー事業(DAT2.0)」への投資資金確保を目的としている。
保有ビットコイン8.063BTCを全売却
2026年6月9日、enishは取締役会において保有するビットコインの全売却を決議し、同日中に売却を実行したと発表した。同社は2025年4月にビットコインの取得を公表しており、これまで合計8.063BTCを保有していた。
取得価額は1億400万円だったが、今回の売却額は7,926万5,000円となった。
2026年3月末時点の評価額は8,548万7,000円であり、売却による損失は622万2,000円として開示されている。この損失は2026年12月期第2四半期の営業外費用に計上される予定だ。
同社によれば、今回の売却はデジタルアセットを活用した新たな事業モデル「DAT2.0」の推進準備の一環である。2026年6月3日に公表したSolana(※1)を活用した「アクティブ・トレジャリー事業」に向け、投資資金を確保することが主な目的となる。
売却完了後、enishが保有するビットコインはゼロとなった。
一方で取締役会では、デジタルアセット市場の動向や事業戦略を踏まえ、ステーブルコイン(※2)を含む暗号資産の取得および保有について今後も適宜検討・実施していく方針を決議している。
なお、DAT2.0推進による業績への影響は現在精査中としており、開示事項が生じた場合は速やかに公表される見通しである。
※1 Solana:高速処理と低コストを特徴とするブロックチェーン基盤。分散型金融やWeb3サービスなど幅広い用途で利用が拡大している。
※2 ステーブルコイン:法定通貨などの資産価値と連動するよう設計された暗号資産。価格変動を抑えた決済や資金移動手段として利用される。
事業投資を優先する財務戦略の行方
今回の判断は、暗号資産の値上がり益を期待して保有を続けるのではなく、事業成長に向けた資金配分を優先した動きとして受け止められる。
特にDAT2.0の推進を掲げる同社にとっては、運用資産を事業投資へ振り向けることで戦略実行の柔軟性が高まる可能性がある。
また、ビットコインを一度現金化することで、今後の市場環境に応じた資産配分を再構築しやすくなる面も考えられる。ステーブルコインやその他のデジタルアセットを含め、より事業目的に沿った資金運用を選択できる余地が広がるかもしれない。
一方で、将来的にビットコイン価格が大きく上昇した場合には、売却によって保有メリットを手放したとの見方が出る可能性もある。暗号資産市場は変動が大きく、売却のタイミングに対する評価は市場環境によって変わり得るだろう。
また、DAT2.0構想がどの程度収益へ結び付くかは今後の事業展開次第であろう。
ビットコインを手放した資金が新たな成長機会の創出につながるのか、それとも別の課題が浮上するのか、enishのデジタルアセット戦略の次の一手に市場の関心が集まりそうだ。
株式会社enish 暗号資産(ビットコイン)売却及び暗号資産売却損の計上に関するお知らせ
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